[研究成果の具体的概要] ・非肥満マウスを用いた実験:昨年度明らかにしたレプチン応答性腹側被蓋野(ventaral tegmental area: VTA)ドパミン神経のうち、41%の神経細胞ではレプチンによる20%以上のD2受容体機能低下を同定したが、残り59%の神経細胞ではレプチンによるD2受容体機能低下は20%未満であった。この2種類のレプチン応答性VTAドパミン神経の相違は、神経細胞のレプチン感受性と相関していた。 ・高脂肪負荷肥満マウスを用いた実験:VTAドパミン神経のうち、42%がレプチン応答性で、残り58%がレプチン非応答性であった。これは、非肥満マウスのVTAドパミン神神経の71%がレプチン応答性で、残り29%がレプチン非応答性であったのと対照的であった。非肥満マウスで同定されたのと同様に、肥満マウスにおいても2種類のレプチン応答性VTAドパミン神経が同定されたが、その相違はマウスの体重に関係していた。
[研究成果の意義と重要性] 本研究結果から、肥満マウスではレプチンによるVTAドパミン神経興奮抑制効果が減弱しており、肥満モデルにおいてレプチン-ドパミン相互作用は体重と関係していることが分かった。このような肥満における食報酬中枢神経機序が、肥満・高レプチン血症における食行動変容に関与している可能性が示唆された。
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