研究課題/領域番号 |
16K00935
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研究機関 | 西南女学院大学 |
研究代表者 |
坂巻 路可 西南女学院大学, 保健福祉学部, 准教授 (80389486)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ポリフェノール / カテコールアミン / メンタルヘルス |
研究実績の概要 |
生活習慣病は、食の欧米化やストレス社会の影響により年々増加の一途を辿っている。生活習慣病は、うつ病などのメンタルヘルスの不調によっても誘発されしばしば増悪(重症化)するため、メンタルヘルス対策の必要性が重視されている。本研究では、精神鎮静作用やリラックス効果の知られる香草の浸出液(ハーブティー)に含まれる個々のポリフェノールについて、交感神経系機能へ作用を示すものを細胞レベルで同定し、細胞系での作用機序等の解析と動物を用いた系で、生体内での影響の関連性を解析して、最小有効摂取量・許容限界量や作用機序を多角度から検討していくことを目的としている。ポリフェノールの中で神経系へ作用する機能成分をスクリーニングした結果、Silymarinが特定された。Sylimarinは、マリアアザミの抽出成分の総称で、Silybin(またはSilibinin)、Silychristin, Silydianinと呼ばれるフラボノイドリグナン類から成り、強い抗酸化作用を示す。Sylimarinの、カテコールアミン神経系への作用及びMIN6細胞を用いグルコース刺激によるインシュリン分泌への影響について検討を行い、得られた主な結果は次の通りである。Silymarinは、ニコチン性アセチルコリン受容体刺激、電位依存性Naチャネルの活性化によって引き起こされるカテコールアミン分泌を濃度依存的(10-100μM)に抑制した。Sylimarin成分のなかで、Silybinが最も強くアセチルコリン受容体刺激によるカテコールアミン分泌の抑制効果を示し、またSilybinは、チロシン水酸化酵素活性を抑制した。更に、MIN6細胞を用いた検討でグルコース刺激によるインシュリン分泌を抑制する効果を持つことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交感神経系の機能モデル系として各種薬物の影響の解析に用いられているウシ副腎髄質初代培養細胞を用いた系で、広く飲用される香草抽出液(ハーブティー)に含まれる機能性成分であるポリフェノール類について、カテコールアミン分泌作用を指標にして交感神経系への作用を検討した。ポリフェノールの中で神経系へ作用する機能成分をスクリーニングした結果、Silymarinが特定された。ウシ副腎髄質の初代培養細胞を用い、Sylimarinの、カテコールアミン神経系への作用及びMIN6細胞を用いグルコース刺激によるインシュリン分泌への影響について検討を行った。Silymarinは、ニコチン性アセチルコリン受容体刺激、電位依存性Naチャネルの活性化によって引き起こされるカテコールアミン分泌を濃度依存的(10-100μM)に抑制した。Sylimarin成分(Silybin、Silichristin、Silydianin)のうちで、Silybinが最も強くアセチルコリン受容体刺激によるカテコールアミン分泌の抑制効果を示し、またSilybinは、チロシン水酸化酵素活性を抑制した。更に、MIN6細胞を用いた検討でグルコース刺激によるインシュリン分泌を抑制する効果を持つことが示唆された。概ね順調に計画は遂行されているが、細胞を用いた実験で、安定したデータが得らなかった一部の実験においては、試薬の濃度等を再検討し、実験を繰り返す必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
概ね順調に計画は遂行されている。細胞を用いた実験の一部においては、再度、実験を繰り返す必要のある課題が残されている。H29年度は、研究計画に従って、これらの課題と並行し、マウスを被検体とした動物実験を行っていく予定である。今回研究対象としているポリフェノール類は食物から摂取されるので、マウスへの投与量と組織内での検出量との相関を明確にすることにより、生体内での実際の濃度を推定する。動物実験において、対象とするポリフェノールの含有の高い飲料を経口摂取させ、生体組織内(血中、尿中、脳組織中)のポリフェノールの測定を行い、その有効性を評価する。また、血中グルコース濃度測定も併せて行う予定である。 H30年度は、効果の示唆されたポリフェノールを強化した飼料の摂取が行動にどのような影響を及ぼすかについて、オープンフィールドテスト等を用い行動解析を行ない検討する予定である。動物行動は多種多様で、それらをすべて網羅する観察を実行することは事実上不可能である。そこでまず一般行動観察を行い、注目すべき症状や予期せぬ行動変化が認められた場合、特定項目の機能検査について精密に行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物実験の準備を進めていたが、研究代表者の施設での動物実験室の使用が難しい状況になり387,021円は次年度に使用することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究は、産業医科大学と共同し研究を進めている。動物実験に係る部分は、産業医科大学現有の動物実験室にて行う予定であり、当該年度の使用額に生じた未使用額387,021円は動物実験に係る費用に使用する計画である。対象とするポリフェノールの含有の高い飲料を経口摂取させ、生体、組織内でのポリフェノールの有効性を評価する計画である。また、実験が計画通りに進めば、H30年度も動物実験にて行動解析を行い検討する予定である。
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