研究課題
今年度は,保育所関係者及び学校関係者を対象に,食物アレルギー対応給食提供時の誤食状況調査,及び施設内の飛散および提供給食に混入した3抗原(卵,乳,小麦)の検出を試みた.保育所においては,通常献立の給食をアレルギー児に向けて気づかずに出すなどのヒューマンエラーが多い傾向にあった.また,これまで食物アレルギーの既往なしの児が,保育所で初めて原因食物を摂取することで発症する事例がみられた.一方学校給食では,センター給食あるいは栄養士不在の単独校において,担任・養護教諭が,教室で原因食物を取り除いた給食をアレルギー児が摂取をした結果,症状が誘発した例がみられた.文部科学省の指針が浸透しているものの,児童生徒への提供方法にも課題が残されていることが明らかとなった.抗原検出は,給食準備・提供時間帯に厨房内外にシャーレを設置し飛散した各抗原と,提供給食中に混入した各抗原の量を測定した.測定は食品衛生法の通知による「FASTKITエライザVer.Ⅲ」キットを用いた.小麦・卵を扱う献立では,厨房内の飛散および給食の混入が確認された.保育所給食では,全施設で米飯中への混入は認めなかったが,汁物等で抗原が検出されたものがあった.今回の結果からは,最重症を除き通常の給食作成で対応給食は提供可能と推測されたが,小麦など粉体成分は,飛散や混入の可能性が否定できず,管理体制の徹底が望まれた.ひきつづき学校給食施設での調査及び測定を行う.
2: おおむね順調に進展している
当初計画をしていた内容において自治体の協力も得られ,順調に調査をすすめることができている.研究費も計画的に消化できている.
これまでの食物アレルギー給食提供の状況調査結果を,学会発表及び学術雑誌に投稿する.食物アレルギーまた施設内に飛散・混入した抗原測定については,ひきつづき実験を継続する.結果は現場に還元し,意見を聴取して誤食事故防止策を検討する予定である.
学校調査先の事情により,実験サンプルを年度を超えて頂くことになった.
実験サンプルが到着次第,実験消耗品の購入に充てる.
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) 図書 (3件)
アレルギー
巻: 印刷中 ページ: ー
日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会誌
巻: 14 ページ: 30-31