研究課題/領域番号 |
16K00941
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研究機関 | 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所 |
研究代表者 |
中村 寛海 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主任研究員 (00332445)
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研究分担者 |
井口 純 宮崎大学, 農学部, 准教授 (00437948)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | カンピロバクター / 飲食店 / ふきとり / EMA / リアルタイムPCR / 型別 / mP-BIT |
研究実績の概要 |
2015~6年に食中毒原因究明調査で直接あるいは増菌培養によりカンピロバクターが分離された73事例由来178名の患者を対象とした。178名から分離された298株(C. jejuni240株、C. coli58株)のカンピロバクター菌株を用いて、マルチプレックスPCR binary typing(mP-BIT)法による型別を実施した結果、240株のC. jejuniは42タイプ(J-01~J-42)、58株のC. coliは11タイプ(C-01~C-11)に分類された。最も多く検出されたタイプはJ-03でC. jejuni240株中95株(39.6%)で、19事例から検出された。これまでの研究で実施した2011~4年に分離された53事例由来159株(C. jejuni138株、C. coli21株)の型別結果と比較したところ、J-03は138株中19株(13.8%)で9事例から検出され、13事例由来27株から検出されたJ-40の次に多かった。大阪市内の126事例由来457株のカンピロバクターにおいて、複数の事例から検出される主要な2タイプ(J-03とJ-40)が見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、飲食店のふきとり材料からカンピロバクター遺伝子の検出を試み、培養法では検出されない検体からカンピロバクター遺伝子が検出されることを明らかにした。さらに、飲食店のふきとり材料から抽出したDNAが生菌由来か死菌由来かを区別するためにエチジウムモノアザイド(EMA)で処理を行い、リアルタイムPCR法により定量を試み、冷蔵庫のとっ手にカンピロバクター生菌の存在を示唆するデータを得ることができた。また、2011~6年に食中毒原因究明調査から分離されたカンピロバクター菌株をmP-BIT法による型別を行い、複数事例から検出される主要な2タイプ(J-03およびJ-40)が存在することを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
本年が最終年度の予定であったが、ここまでの成果を論文にするために1年間延長した。本研究課題の成果を踏まえて、新たな研究課題として、今年度より、大阪市内の複数事例から検出される主要な2タイプ(J-03およびJ-40)のカンピロバクター菌株について、好気環境下での発育、バイオフィルム形成およびVBNC(生きているが培養不能な状態)について検討し、次世代シーケンサーによるゲノム解析を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果を海外雑誌に投稿するための英文校正代を積み上げていたが、研究期間内に原稿を作成することができなかった。研究期間を延長して海外誌への投稿を目指したい。
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