2019年にカンピロバクター食中毒の原因施設となった飲食店2店舗から食中毒発生後速やかにそれぞれふきとり材料30検体および13検体を採取し、培養法、エンドポイントPCR法およびリアルタイムPCR法でカンピロバクターの検出を試みた。その結果、培養法、エンドポイントPCR法では全てカンピロバクター陰性であったが、リアルタイムPCR法により、1施設ではコップと製氷機とっ手のふきとり水2検体から、別の1施設ではデザート用シンクの内側、デザート用の作業台および肉用シンクのカランの3検体からカンピロバクター遺伝子が検出された。とっ手やカランは調理環境でカンピロバクター汚染を拡大させている可能性があると推察された。2018~2019年に卸売市場およびスーパーから入手した国産鶏肉および卸売市場内の鶏肉加工場からふきとり材料を入手してカンピロバクターの分離を試みるとともに、multiplex PCR binary typing (mP-BIT)法により型別を実施した。その結果、鶏肉やその加工環境からは多様な遺伝子型を示すカンピロバクターが分離され、その一部は同時期に発生した食中毒患者由来株とパターンが一致した。 2011~2014年に分離されたニワトリ、ウシおよび食中毒患者由来カンピロバクター菌株のmP-BIT法による型別結果をまとめて論文化した。
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