「いわゆる健康食品」の製剤学的な品質の時系列的な変化について検討を行った。医薬品に適用される加速条件下(温度:40℃、相対湿度:75%)で保存した製品について、保存開始3ヶ月、6ヶ月後に外観(性状)の確認および各種製剤試験(溶出試験、崩壊試験、重量偏差試験および硬度試験)を実施した。 1)外観(性状)の経時的な変化:保存を開始してから3ヶ月後には吸湿のため、色調および性状の劣化が著しい製品が見受けられた。また、保存開始6ヶ月後には、吸湿による崩壊のため、原型を留めない製品も存在した。2)重量偏差試験の結果:全ての検体に吸湿による経時的な重量の増加が確認された。保存を開始してから3ヶ月後には、検体により5~26%程度の重量増加が認められた。保存開始6ヶ月後には、吸湿による崩壊のため、重量偏差試験の実施が困難な製品も見受けられた。3)崩壊試験の結果:健康食品の崩壊性に係る品質に関して、保存による時系列的な変化は、ほとんど確認されなかった。保存開始時に崩壊性が良好ではない製品は、加速条件下で保存した後も、著しい吸湿状態にも関わらず、同様の傾向を示した。4)硬度試験の結果:全ての検体に吸湿による経時的な硬度の低下が確認された。硬度は、保存開始3ヶ月後には、概ね試験開始時の20%以下まで低下した。さらに保存開始6ヶ月後には、吸湿による崩壊のため、硬度試験を実施することが困難な製品も見受けられた。5)溶出試験の結果:溶出性に係る品質に関して、保存による時系列的な変化が見受けられた。加速条件下で保存することにより、各製品とも溶出性が低下した。この傾向は、対象となる水溶性ビタミンの種類によらず、概ね同様であった。また、各個体間の溶出挙動のバラツキは、保存することにより小さくなった。
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