この研究の目的は,「武州工業株式会社で開発した『パイプグラム』を活用して授業を展開し,実物を児童生徒に持たせて指導することが空間概念を育てることに効果的であるかどうかを明らかにする。」ことであった。 最終年度は,取り組みの中心は,2年間で行った研究について,普及することであった。その第一は,県内6カ所で行った勉強会である。勉強会は,各地で約2ヶ月に1回の割合で夜(19時~21時)に実施した。各地では,小学校,中学校の教諭と指導主事が参加し,人数は10名~15名が参加した。勉強会の回数は,年間で29回になる(3年間では,80回)。第二は,2年間で実施した実践や調査の結果について,広げるために研修会で,授業の進め方等について講義をすることである。研修会では,空間図形の授業の在り方のみに限らず,算数・数学の授業の在り方を講義した。研修会等の講義の回数は,最終年度は16回である(3年間では,52回になる)。第三は,算数・数学教育研究会での発表である。これは,附属中学校の藤井教諭と佐々木教諭が3年間の取り組みを成果をまとめ,日本数学教育学会で発表し,全国の先生方に研究の成果を広げた。第四は,研究報告書の作成である。研究報告書では,この3年間に研究協力者が行った授業実践,事例および研究で行った調査結果をまとめた。第2章が附属小学校の実践,第3章が附属中学校の実践,第4章~第8章までが,研究代表者が行った論文発表やそれに関わる授業実践の記録,第9章が研究協力者が行った授業実践の記録である。この報告書は,今後の指導の参考になるように,現場の先生方に配布した。
|