研究課題/領域番号 |
16K00966
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山崎 博史 広島大学, 教育学研究科, 教授 (70294494)
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研究分担者 |
古賀 信吉 広島大学, 教育学研究科, 教授 (30240873)
竹下 俊治 広島大学, 教育学研究科, 教授 (90236456)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 教材開発 / プレートテクトニクス / セメント化作用 / 海岸地形 / 火成活動 / 物質循環 / GIS / 非火山性高温温泉 |
研究実績の概要 |
①素材探査の検討に重点を置き,②教材開発についても検討した。 ①素材探査では,海岸地形の形成過程を現在進行形の地質現象と捉え,ビーチロック様岩や砂丘でのセメント化作用に関する野外調査を実施した。その結果,長崎県奈留島と和歌山県すさみ町で,岩石海岸において崖錐堆積物や崖錐堆積物起源と考えられる海食棚上の巨礫が固結してビーチロック様の状況を呈していることを確認した。また長崎県福江島では,固結した砂丘堆積物の一部がサンドパイプ様の堆積構造で特徴付けられることを確認した。これは未固結砂丘堆積物中に認められる植物痕との類似性があり,成因的な関連が示唆された。上記の事項は,地形形成過程を地球表層での物質循環の中で捉え,地圏,気圏,水圏,生物圏の関わりとしてシステム論的に考えるための素材となりうると考える。 また,広島県中央部での古第三系の存在を検討した。古第三紀は日本列島形成初期に当たり,古第三紀から新第三紀の移行期の各地の地層形成過程をプレートテクトニクスの枠組みの中で理解することは,実感を伴ったプレートテクトニクスの理解につながるものと考える。 ②教材開発に関しては,プレート収束域での物質循環のうち,マグマの動きと水の動きに注目して教材開発の視点から先行研究を整理・検討した。前者については,マグマの冷却過程と火成岩の岩石組織との関連について大学生の認識状況調査(誤概念調査)を行い,岩石組織形成についての通時的理解の不足を確認し,先行研究で提案されている結晶化実験の改良を検討して大学生を対象とした試行実践を行った。また後者については,非火山性高温温泉に注目し,その成因としての可能性が指摘されているスラブ起源流体の特徴について先行研究の結果を整理し,GISソフトウエア上で比較・検討して,非火山性地域での温泉湧出を考察する教材化のための検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に計画していた素材探査,教材開発,学習プログラム開発および試行実践に関して,素材探査,教材開発と試行実践について一定程度の検討を行い,その結果の一部を昨年度の成果と合わせて学会発表して評価を受けることができた。しかし,学習プログラム開発についてはさらなる検討が必要であり,上記の評価区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までに行った素材探査の結果を中心にした教材開発を行い,その結果を論文や学会等で発表する(担当:全員)。また,それらを活用した学習プログラムを検討・作成し(担当:全員),大学生を対象とした試行実践(担当:山崎)を通して評価・再検討・改善を行なう(担当:全員)。以上を総合して,最終案として学習プログラム:地球環境サービス(仮称)を完成させる予定である。
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