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2016 年度 実施状況報告書

化学・生物の複合的素材:酵素の教材化と評価

研究課題

研究課題/領域番号 16K00967
研究機関鳴門教育大学

研究代表者

胸組 虎胤  鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (00200246)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード化学と生物 / 粒子 / 生命 / 消化 / 酵素 / 洗剤 / 反応
研究実績の概要

理科の現学習指導要領は物理・化学・生物・地学の基本4概念を「エネルギー」,「粒子」,「生命」,「地球」としたが,4概念それぞれは関連し,学習者に想起させる内容は広がりを持ち,各科目だけに留まらない。物理の教科内容を構成する基本概念「エネルギー」は,化学,生物,地学の中にも包含される。他の3概念も同様で4科目は4概念すべてと関連している。ところが,物理・化学・生物・地学の境界は従来通り存在し,4概念を各科目内に留める働きをしている。科目の系統性が境界を守ると同時に4概念を強調することで,科目間の境界を曖昧にしている。この矛盾はある科目の基本概念に興味を持つ学習者が,科目の境界を越えて,同じ概念に関連する項目を学習することを阻み,ある自然現象について多面的な見方ができないことを引き起こす。
現実の自然現象を1概念で把握できないため,各概念間と科目間の境界領域や重複領域の扱いが問題となる。複数概念から多面的に考察する教材を開発することは,概念と科目の矛盾を埋め合わせることができると考える。本研究は「生命」と「粒子」の間に存在する「消化」という学習項目を「生命」と「粒子」の両方から同時に学ぶ教材として「酵素」を用いることを提案し,具体的な酵素の素材として,唾液とともに他の素材の利用法を考える。(ア)食器洗い機用洗剤(アミラーゼ,プロテアーゼ,リパーゼ),(イ)消化薬(アミラーゼ,リパーゼ)の教材化と教材の評価の研究を行う。
平成28年度には,唾液と食器洗い機用洗剤のαアミラーゼの反応を比較することで,「生命」と「粒子」の両方に関わる教材の基本的な形を作り上げた。「生命」由来の唾液のαアミラーゼと「粒子」由来の食器洗い機用洗剤αアミラーゼの反応が高温で作用するかしないかを比べて,授業展開を工夫する方向性を導くことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

αアミラーゼとプロテアーゼを用いた教材の基本的な形を作ることができたが,それを実際に教材として用い,学習者の学習効果を試す機会が,平成28年度には得られなかったためである。平成29年度には教材を試す機会が予定されているので,遅れを取り戻すことができると考える。

今後の研究の推進方策

平成28年度前半にはアミラーゼとプロテアーゼについて教材としての利用手順を確立できたが,実際に演示実験と授業で使用できる形として完成させる。平成29年度にかけては,リパーゼに教材化の中で,リパーゼによって中性脂肪から実際に生成するモノアシルグリセリド(モノグリセリド)またはグリセリンと脂肪酸の定性および定量を行う実験手順を開発する。教材の評価については,例年,徳島大学主催,化学会共催で開催されている「おもしろワクワク化学の世界」に平成29年度に出展して,小中学生に実験を体験してもらい,その反応と達成度をアンケート形式の調査票で調査する。次に,本学理科コースの複数の学生に模擬授業を行わせ,本教材の有用性と修正を行う。

次年度使用額が生じた理由

αアミラーゼとプロテアーゼを用いた教材の基本的な形を作ることができたが,それを実際に教材として用い,学習者の学習効果を試す機会が,平成28年度には得られなかった。そのため,演示実験等を共に担当する学生への謝金を使用することがなかった。また,関連の教材作製用に消耗品を使用することがなかった。

次年度使用額の使用計画

平成29年度には教材を試す機会が予定されているので,その機会に学生とともに演示実験を児童生徒の前で行うことを予定している。謝金はこの活動に参加した学生に支払う予定である。また、関連した教材作製用に消耗品費用を使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Investigating the Hydrolysis of Starch Using α-Amylase Contained in Dishwashing Detergent and Human Saliva2016

    • 著者名/発表者名
      Toratane Munegumi, Masato Inutsuka, and Yukitaka Hayafuji
    • 雑誌名

      Journal of Chemical Education

      巻: 98 ページ: 1401-1405

    • DOI

      10.1021/acs.jchemed.5b00545

    • 査読あり
  • [学会発表] 理科の教科内容の体系2017

    • 著者名/発表者名
      胸組虎胤
    • 学会等名
      日本教科内容学会第2回プロジェクト研究発表会
    • 発表場所
      奈良教育大学(奈良県奈良市)
    • 年月日
      2017-03-20 – 2017-03-20
  • [学会発表] 理科の教科内容ー自然認識,資質・能力2016

    • 著者名/発表者名
      胸組虎胤・佐藤勝幸
    • 学会等名
      日本教科内容学会第1回プロジェクト研究発表会
    • 発表場所
      聖徳大学(千葉県松戸市)
    • 年月日
      2016-12-03 – 2016-12-03
  • [学会発表] 化学と生物の複合的教材:洗剤に含まれるαアミラーゼで何を伝えられるか2016

    • 著者名/発表者名
      胸組虎胤
    • 学会等名
      日本教科教育学会第42回大会
    • 発表場所
      鳴門教育大学(徳島県鳴門市)
    • 年月日
      2016-10-23 – 2016-10-23
  • [学会発表] 化学と生物の複合的教材としての酵素の利用2016

    • 著者名/発表者名
      胸組虎胤
    • 学会等名
      日本科学教育学会第40回大会
    • 発表場所
      ホルトホール大分(大分県大分市)
    • 年月日
      2016-08-20 – 2016-08-20
  • [学会発表] STEMおよびSTEAMと教科内容の構成2016

    • 著者名/発表者名
      胸組虎胤
    • 学会等名
      日本教科内容学会第3回研究大会
    • 発表場所
      上越教育大学(新潟県上越市)
    • 年月日
      2016-07-02 – 2016-07-03

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公開日: 2018-01-16  

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