研究課題/領域番号 |
16K00971
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
山田 伸之 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 准教授 (80334522)
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研究分担者 |
丁子 かおる 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (80369694)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地震防災 / 防災保育 / 防災教育 / 地震動 |
研究実績の概要 |
本課題は,乳幼児などの災害弱者を主対象とした防災教育の充実によって,地震の揺れを経験することの少ない地域の子供たちでも,強震動(地震の強い揺れ)による『人的被害ゼロ』にするために,擬似体験を通じた効果的で印象に残る教具教材と飽きない教育啓蒙手法および防災保育プログラムの開発検討と水平展開を行うものである。 研究期間3年目の平成30年度は,2つの被害地震の発生により,本課題の直接的な遂行はやや滞ったものの,昨年度同様に,これまでの防災教育・保育の実践活動等で得てきた知見や情報の集約作業を行うとともに,これまで継続的に実施してきた連携協力園での実践を行うことができた。また,これまで十分に取り組めなかった園児への教育的効果検証の模索を行うことができ,新たな展開を創出することもできた。特に,平成30年6月の大阪府北部の地震では,これまでの連携園が被災地に位置していたことから,地震時の状況から復旧までの一連の保育士や子どもたちおよび保護者たちの動きや様子等の詳細な情報を得ることができ,今後の防災教育・保育の充実化への貴重な資料やデータを蓄積することになった。これらに関する調査等は,別の機会に取り組む予定である。 一方,防災教育に関連する子どもたちや教諭・保育士および保護者等市民の意識の実態を,アンケート調査等を通じて探ることも引き続き行った。そこから園での防災教育は,日常の保育の中の延長線上のあるものであることに気づいてもらうことができ,本課題の目的を一定程度達成できつつある状況にあるとともに,防災保育の方向性が見えてきつつある。特に,上記の被害地震の経験から,防災保育の効果に関する情報も得ていることから,教育啓蒙手法および防災保育プログラムの開発検討と水平展開への取り組みの弾みになりそうである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,研究代表者において,大阪府北部の地震,北海道胆振東部地震などによる調査研究等が生じたため,また,前者の地震に関連して被災地の園での調査や援助対応があり,本課題の遂行については,やや遅れ気味ではあるが,概ね計画を達成することはできていると考え,この判断とした。ただし,達成不十分な点もあるため,研究期間を延長し遂行内容を熟成させることとした。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は,本研究課題の期間の最終年度となるため,最終的な取りまとめを行えるように,計画の時間軸を圧縮するものとする。特に,防災に関連する保育・教育および各種活動は,各種園のみならず広く市民レベルで充実化がなされつつある地域もあることから,地域の状況や実践連携園の実態を見極めながら,研究遂行に努めることとする。 今年度は,過去に実践活動を行った園との再連携および連携強化を重点化し,現場教職員への意識とスキルのステップアップを目指す。その中では,昨年度までと同様に連携園の協力のもと,子どもたちへの防災保育と保育者や保護者たちへの防災教室を継続的に行い,現有する防災保育教材の見直しと防災保育の実施効果検証の方法の模索,現場教諭・保育士への再教育および意識調査を重点的に行うこととし,水平展開への足掛かりとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は,前述した諸事情により作業がやや停滞したが,主に物品等の購入をせずに済み,繰越すこととなった。また,本課題は,当初より低予算での研究遂行と最大限の研究成果の創出を常に考慮してきており,今年度も予算の消化をあまり行わずに研究遂行を実行できた。 期間延長となった今年度においても,これまでと同様に実践活動や教材・教育方法の開発製作などに創意工夫と自助努力による低コスト化を目指す。今年度は,最終年度である点を鑑みて,研究成果の公表,特に対外的な情報発信を意識的に行うとともに,防災教育充実化に資するコミュニティを構築するための経費に充当させることとする。また,引き続きこれまでの連携学校・園との関係の再構築と重点化,教材・教具の広報の仕方や各種課題への対応策の検討なども行うこととする。さらに,次期課題となるような防災教育・防災保育の新展開に向けた足がかりつくりのための活動にも注力し充当させることとする。
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