本課題は,乳幼児などの災害弱者を主対象とした防災教育の充実によって,地震の揺れを経験することの少ない地域の子供たちでも,強震動(地震の強い揺れ)による『人的被害ゼロ』にするために,擬似体験を通じた効果的で印象に残る教具教材と飽きない教育啓蒙手法および防災保育プログラムの開発検討と水平展開を行うものである。 研究期間4年目(1年延長)の令和元年度は,年度末の新型感染症の拡大により,取りまとめのための活動(園での確認・実践および意見交換・情報収集等)を行うことができず,遂行自体が止まってしまったものの,昨年度同様に,これまでの防災教育・保育の実践活動等で得てきた知見や情報の集約作業を行うとともに,継続的に実施してきた連携協力園での実践の一部を行うことができた。特に,今年度は,新たな展開を創出することよりも,総括や取りまとめに向けた資料整理等を拡充させた。 その中では,防災教育に関連する子どもたちや教諭・保育士および保護者等市民の意識の実態を,アンケート調査等を通じて探ることも引き続き行うだけでなく,保育士向けの防災保育研修への道筋をつけた。園での防災保育の必要性だけでなく,通常業務の中での危機管理としての「防災」の重要性についても気づいてもらうことができ,本課題の目的の一部は達成できたものと考えられる。本課題の目標としていた防災保育プログラムの開発検討と水平展開への方向性の見通しができつつあるものの,新たな課題も浮き彫りになった。
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