研究課題/領域番号 |
16K00972
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
木村 尚仁 北海道科学大学, 工学部, 教授 (80244838)
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研究分担者 |
伊藤 隆介 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (80271716)
小島 洋一郎 北海道科学大学, 工学部, 教授 (50300504)
碇山 恵子 北海道科学大学, 未来デザイン学部, 教授 (50337010)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | モノづくり / フィジカルコンピューティング / プログラミング / センサー / アート / 自己効力感 |
研究実績の概要 |
平成28年度には当初の計画に基づき,研究で使用するマイコンについて,選択肢として考えていた mbed,Arduino,Raspberry Piに 加え,IchigoJam についても検討した。その結果,プログラミング環境の整備,ハードウェアの入手しやすさ等の点から,mbedを主として用いることに方針を定めた。 実際にmbedを用いて,色が変わりながら点滅するLEDランプを作製,小学生向けの出前授業で簡単に紹介し,子供らのプログラミングに対する関心を高められたことが確認できた。次にmbedを用いた五感センサーの代表事例として,金属板と電気抵抗,ミニブレッドボードのみによるオリジナルのタッチセンサーの作製を行なった。これは原理も作製方法も単純でありながら,物理,生物学,回路作製,電気・電子工学,数学(PWM制御に関して)に関する内容を含むことから,STEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics)教育の教材としても最適であるといえる。そこで中学生対象の科学モノづくり講座の中で,このタッチセンサーを利用した迷路ゲームの製作を実施した。これにより中学生に向けて科学技術やプログラミングへの関心・理解を深める上で,これが教材として効果が期待できることが確認できた。さらに上記の他にも種々の子供や大人向けの電気・電子系科学モノづくり講座を実施し,様々な層における科学モノづくりの学びを推進するための方法などについて,実践的に知見の蓄積を行なった。 また,今後のフィジカルプログラミングツールによるアクティブな学びを,適切な評価のもとで効果的に進めることを目的に含め,PBL型授業でのルーブリックの活用についての検討も行っている。 さらに次年度以降のアート分野への展開の準備として,関連資料やイベント,展示会参加による調査も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では,さらに数種類のセンサーおよびそれを利用したプログラミング教材開発を行う予定であった。 しかし当該年度には,ちょうど様々な年齢層に対するモノづくり講座を実施する機会に恵まれた。そこで,そのような場を利用した学びの推進のための企画や方法,実践的ノウハウを得ていくことを優先させた。 その部分では,次年度を先取りして進めることができたが,ツール開発を主とするメインの研究計画としては,やや遅れていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度には,当初計画からやや遅れている,各種センサーを用いたフィジカルプログラミングツールの開発を加速して進める。さらに回路構成や制御コードを精査して,このツールを用いた学習用プログラム(カリキュラム) を構築し,それに基づき学習講座を実施する。学習者は以上を学んだ上で,自分でフィジカルプログラミングツールを使って作品を作り上げ,学習プログラム修了とするようカリキュラムをデザインする。この学習プログラムは,工学だけに限らず広い分野でモノづくりに関心を持つ生徒・学生等も利用できるよう構成する。また,アート系学生向けの学習プログラムの構築も検討を始める。 次いで大学初年度の学生から5人程度の志望者を集め,ティーチング・アシスタントのサポートの下,このプログラムにしたがって学習講座を実施する。またこの講座では,参加学生自身のアイディアに基づいておもちゃやゲームなどの作品制作を行い,自律的な学びを進める。 以上のプログラムにおいて,実施時の学習者の様子,理解度,終了後の講座に対するアンケート,および聞き取りにより,フィジカルプログラミングツールの改良,学習プログラム, テキスト改訂を行い,完成をめざす。 その後最終年度には,前年度までに完成したフィジカルプログラミングツールと学習用プログラムを基に,工科型大学初年度学生,アート系などの他分野の大学生,および高校生を対象に学習講座を実施する。本研究で開発したツールと学習プログラムを実践するともに,その人材育成のための教育面での効果について効果測定を行う。その結果を精査して,次期の新たな電子系モノづくり工学教育ツールの開発に繋げていくことをめざす。
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次年度使用額が生じた理由 |
「研究実績の概要」で述べた通り,当該年度は状況に応じて機会を利用し当初の計画とは別の点を先行して進めることとしたため,各種センサーを用いたフィジカルプログラミングツールの開発がやや遅れる結果となった。そのため,関連部品・材料,機器の購入において,当初の研究計画から見ると余剰が生じることとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
「今後の研究の推進方策 等」に記述した通り,各種センサーを用いたフィジカルプログラミングツールの開発の遅れている部分については平成29年度に進めていく予定である。そのため,当該助成金はこの年度において開発用の関連部品・材料,機器の購入に使用する見込みである。
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