3年目は、2年目に引き続き3Dプリンターによる燃料内形状や他要素のロケット性能へ与える影響を検討した。その結果、例えば直径10mm単孔で長さ400mm相当の内表面積を有する3Dプリンターによるマルチポート型燃料では長さ150mmで1.5倍程度の総推力を得られることを明らかにした。さらに、引き続き、酸素ノズルやスロート径の総推力に与える影響も評価した。これらの成果により、教材としての用途に応じた推力のバリエーションを増やすことが可能になることが確認できた。また、ハイブリッド・ロケットの教材としての安全性を保障するため、燃料の繰り返し利用が推力性能や安全性に与える影響に関して評価し、さらに異なる条件での地上燃焼実験および飛翔実験を繰り返し、教材としての問題点を抽出した。さらに通常クラス理科授業(埼玉県加須北中学校)と、募集に基づいた理科授業(ひらめき・ときめきサイエンス、さいたま市青少年宇宙科学館若田宇宙飛行士アカデミースペースコース、愛媛県松山市おもしろ理科教室)で、小学生、中学生または高校生を対象に、ペットボトル・ハイブリッド・ロケット体験授業および授業評価アンケートを実施し、提案する本ペットボトル・ハイブリッド・ロケットの理科・技術科教材としての有用性等についてさらに検討した。加えて、6軸加速度・ジャイロセンサー、メモリー、マイコン等の電子部品を基板上にはんだ付けした低価格な小型マイコンボードおよび回収パラシュートシステムを試作し、ロケット内にそのマイコンボードおよびパラシュートを設置し打ち上げ実験およびロケット飛翔中のデータ収集を行った。さらに小型カメラをハイブリッド・ロケットに搭載し、飛翔中のロケットから地上映像も取得した。
|