研究課題/領域番号 |
16K00975
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
藤本 一郎 金沢工業大学, 基礎教育部, 教授 (60319035)
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研究分担者 |
戸田 晃一 富山県立大学, 工学部, 准教授 (20338198)
堤 康嘉 大島商船高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30450141)
井上 友喜 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (60253316)
柳 研二郎 城西大学, 理学部, 客員教授 (90108267)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Precalculus / 教科書作成 / 国際標準 / 応用力 |
研究実績の概要 |
近年、社会の国際化と大学の大衆化に対応する為に、我が国の大学教育は「質保証」に向けた変革を迫られている。日本数学会の下部組織である「工学系数学基礎教育研究会」ではH25年度より科研費プロジェクト「新しい工学系数学基礎教育のための Calculus 教科書作成」において、国際標準に準拠した論理的思考力と応用力養成を重視した教科書作成を進めてきた。しかし、推薦入学者が増加する傾向の中で、大学入学時点において数学基礎力がこの標準コースを受講する基準に満たない学生が一定の割合で存在する。このような状況において、卒業生の質を保証する評価法を取り入れた順次性のある世界標準の教育システムを再構築する必要がある。この科研費プロジェクトでは、この様な学生層及び広く工学以外の専攻や文系の学生をも対象に、大学数学の立場から数学の基礎的な知識と論理的思考力・応用力を養成する本格的な Precalculus コースの教科書作成を目的としている。 この教科書の特色は次の通りである。 1.高校数学の復習という立場でなく、正規の科目として大学数学入門という立場から大学数学の考え方や論理的思考に慣れさせ、現在作成中の標準 Calculus 教科書への接続に留意する。 2.高校までの暗記型の学習から大学の論理的思考力による自ら考える自立型学習に変換を促す。 3.諸分野への豊富な応用例を用いて、学習の動機付け、概念の説明や応用例題・演習を数学の学習の流れの中に無理なく融合させ、数学とその応用に興味を持たせる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
我々教科書編集委員会のメンバーはそのまま先行する Calculus 教科書プロジェクトの編集委員を兼ねている。この為、初年度においては Calculus 教科書を完成させることに重点を置いたために、Precalculus 教科書の執筆が遅れ気味になったことは否めない。Calculus 教科書は本年度秋に出版の予定であるので、本年度後半から Precalculus 教科書の執筆に専念できると思われる。先行する Calculus 教科書作成プロジェクトにおいて、既に世界各国の数学基礎教育カリキュラムと教科書を調査済みであるので、主な Precalculus 教科書を科研費や校費を用いて購入した。現在、各編集委員は担当の Precalculus 教科書の章を執筆中である。
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今後の研究の推進方策 |
各章の執筆担当は以下の通りである。 第1章 数と式の計算(藤本)、第2章 関数とグラフ(藤本)、第3章 指数関数と対数関数(堤)、第4章 三角関数(井上)、第5章 微分積分入門(柳)、第6章 確率と統計(藤本)、第7章 ベクトルと行列・行列式(戸田) 本年度、研究代表者の藤本は教育義務のない研究職にある為に多目に分担している。また、各章の執筆者によって執筆スタイルの差異が見られることが予想されるので、編集責任者(藤本)が全体を通して書き直す作業が必要になる。この機会に一気に教科書編集のペースを上げたい。出版社は Calculus 教科書と同じく共立出版で、平成30年度の出版を目指している。
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次年度使用額が生じた理由 |
春と秋の日本数学会において開催する「工学系数学基礎教育研究会」の講演者旅費を予定していたが、春の学会は東京開催であった為にこの為の旅費を使わずに残った。また、物品購入を予定して次年度に繰り越した部分もある。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度の研究会講演者旅費や物品購入費として繰越す予定。
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