本研究の目的は、ICT技術の本質を理解し、高度な技術課題に対応可能なICT技術者を育成するためのカリキュラムを開発することである。まず、教材用コンピュータ(TaC)のハードウェア、オペレーティングシステム、言語処理系を作成しそれらの設計を公開する。次に、これらの教材を念頭においた教科書とカリキュラムを開発する。 平成28年度に教材用コンピュータの設計データやオペレーティングシステム、言語処理系のソースコードを整理し、Githubに公開した。 平成29年度は、オペレーティングシステムの教科書の執筆を進めた。教科書は、教材用のオペレーティングシステムのソースコードを実装例として参照する点でユニークなものである。29年度末に約190ページの執筆を終えた. 平成30年度は教科書を完成させた.内容は,1章「オペレーティングシステムとは」、2章「前提知識」、3章「CPUの仮想化」、4章「スケジューューリング」、5章「プロセス同期」、6章「プロセス間通信」、7章「モニタ」、8章 「主記憶」、9章「メモリ割り付け方式」、10章「セグメンテーション」、11章「ページング」、12章「仮想記憶」、13章「2次記憶装置」、14章「ファイルシステムの概念」、15章「FATファイルシステム」、16章「UNIXファイルシステム」、17章「ZFS」、18章「TaCとTacOS」、19章「TacOSのCPU仮想化」、20章「TacOSのセマフォ」、21章「TacOSのメッセージ通信」、22章「TacOSのメモリ管理」、23章「TacOSのファイルシステム」、付録・文献からなる270ページである。 完成した教科書は、平成30年度後期から徳山高専情報電子工学科の授業で使用している.https://github.com/tctsigemura/OSTextBook/にTeXのソースコードとともに公開している。
|