研究課題/領域番号 |
16K00998
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研究機関 | 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基 |
研究代表者 |
市川 修 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基, 能力開発院, 教授 (80302941)
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研究分担者 |
小林 浩昭 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基, 能力開発院, 准教授 (40770285)
森口 肇 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基, 能力開発院, 助教 (60769826)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 空気圧制御 / 空気式フィードバック制御 / 制御工学 / 教育工学 / 科学教育 |
研究実績の概要 |
空気圧制御技術は、空気を動力源として機器を自動化する技術で、あらゆる産業・業種の自動化に大きく貢献している。産業機械の空気圧制御に携わる生産技術者育成のニーズが高まる中、既存の空気圧制御の教材は、シーケンス制御による簡単な空気圧回路に関するものがほとんどであり、産業機械の空気圧制御に関する職業教育が十分に行われていない。空気圧機器の構造と特性を理解した上で、空気圧制御システムが設計できるような生産技術者を育成するためには、空気圧機器の構造と特性、制御法の理解に適しているフィードバック制御の教材を利用した教育が不可欠である。そこで本研究では、空気圧機器のフィードバック制御に関する技術・知識を習得させる教材を開発するとともに、得られた研究成果の空気圧制御機器への応用を目指している。 平成28年度は、空気式フィードバック制御システムの一例として空気圧シリンダの位置決め装置を設計、製作した。試作装置において目標位置を圧力信号として入力すると、目標に応じたメカニカルな制御によりシリンダが動作し、位置決めが行えることを確認した。さらに空気式フィードバックと電子式フィードバックの特性の違いを総合的に評価するため、制御システムの特性測定を行った。これらの制御技術に関する研究に加え、職業訓練の教育カリキュラムを調査し、空気圧制御技術の教育の現状を明らかにした。職業訓練においては、空気圧機器の概要や空気圧機器のシーケンス制御、空気圧機器を組み込んだ自動化システムの取り扱いに関するカリキュラムが設定されているが、空気圧制御の詳細な理論や設計技術が含まれておらず、空気圧制御システムの設計・製作に必要な教育が不足している。空気圧制御システムに精通した生産技術者育成に必要な教育要素を含めた、新たな教育カリキュラムを提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
空気圧制御システムの教育の現状について調査し、新たな教育カリキュラムを提案した。空気式フィードバック制御系の実験装置については、一度に全て製作せず、必要最小限の機能から段階的に製作することとした。装置は8割程度完成しているが、一部に設計変更と改良が必要であることがわかっている。しかし、ほぼ当初の計画に沿って特性測定を行うことができている。研究成果の発表は、学会発表が1件であり若干の遅れがある。 平成29年度に実施予定であったフィードバック制御系のモデル化とシミュレーションについては、前倒しして一部を平成28年度から実施している。 以上のことから、本研究は全体として概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、平成28年度の進捗状況を踏まえ、まず実験装置の一部について設計変更と改良を行うとともに、必要な機能を段階的に加えていく予定である。これまでに得られた研究成果の学会発表も予定している。 さらに、当初の計画に従い、空気式フィードバック制御系の設計技術の整理・体系化と、制御系の最適化を行う。空気圧フィードバック制御系のモデル化については、平成28年度に前倒しして着手しているが、引き続きモデル化と、そのモデルを用いたシミュレーションを行い、実機の実験結果との比較を行う。これによりモデルの妥当性を確認するとともに制御系を評価し、制御系の設計・評価方法を整理する。 平成28年度には空気圧制御システムに精通した生産技術者育成に向けて、新たな教育カリキュラムを提案しているが、この教育カリキュラムを踏まえ、空気式フィードバック制御系を組み込んだ教材の構成と教育方法も検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会参加のための旅費、学会参加費、論文投稿のための予算を確保していたが、年度内に行った学会発表に旅費・学会参加費を支出しなかったこと、論文投稿を行わなかったことが、次年度使用額が生じた主な理由である。また、物品費においても、研究機関に整備済みの計測装置を活用して効率的に実験設備を構築したこと、および試作装置を必要最小限の機能から段階的に製作することとしたことから、次年度使用額が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度には、旅費・学会参加費を伴う学会への参加や、論文の投稿を予定している。また、段階的に製作している試作装置に空圧機器、機械部品、センサなどを追加し、当初計画の通り完成させることを予定している。 旅費・学会参加費等は、当初の想定より少なくなる見込みである。一方で、製作した試作装置に不具合があり、一部改良が必要である。これらに対応するため、平成29年度は直接経費の使用内訳を見直す予定である。
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