研究実績の概要 |
平成29年度においては,高等学校「物理基礎」の「光」の単元において,スネルの法則を題材とした理科と数学の関連性を重視した教材の開発を行った。具体的には,「光の速度は空気中とガラス中では異なり,ガラス中の速度は空気中よりも早くなる」という前提条件から,理科の実験による科学的なアプローチと,フェルマーの原理と合成関数の微分を用いた数学的な証明のアプローチによって,同じ結果を導き出す過程を検証させる授業プログラムを開発し,高校において授業実践を行った。実践授業の前後で理科と数学に関連する項目のアンケート調査を行い,その結果を分析したところ,科学的な探究や自然事象と数学との関わりに対する生徒の興味・関心や,一つの事象を多角的な視点で捉える力などにおいて,教育的な効果が有意に認められた。一単元における実践ではあるが,次期学習指導要領で新設が決まっている「理数探究」の試行として,このような教材の開発は有効であると考えられた。 今年度は,この実践例を「光の屈折を用いた理科と数学を関連付ける授業の実践」として理数教育関連の学会で発表したほか,「高等学校における数学と理科を関連させた探究活動の指導計画について」および「The developement of a teaching program, focusing on the importance of connections between science and mathematics teaching, using a Maraldi's angle」についても,関連する国内および国際学会で発表を行った。
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