研究課題/領域番号 |
16K01004
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
沼山 恵子 東北大学, 医工学研究科, 准教授 (30400287)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | バイオイメージング / ライフサイエンス / 生命現象の可視化 / 実習教材開発 / 次世代人材育成 |
研究実績の概要 |
本研究は、医療現場で必須の画像診断と研究現場で使用されているバイオイメージングの手法を用いて、様々な生命現象を可視化して体験できる実習コースを構築することにより、我が国の医療機器関連産業従事者のハードリングを支援するとともに、中等教育現場でも実践可能な手法に改変して教材化を図り、医療工学・生命科学分野の次世代人材育成に資することを目指している。前年度までの研究課題「理工系出身者を対象とする医療工学・生命科学実習の発展と汎用化」の成果と方法論を元に、新たな実習の開発に取り組んでいる。 平成28年度は、近年、栄養食品やバイオ燃料の原料として注目を集めているユーグレナ(ミドリムシ)を実験教材として簡易に培養する方法を検討し、培養液を封入したプレパラートを作成して、正立・倒立・実体・蛍光の各顕微鏡を用いて生きたまま観察する実習を、中高生から社会人技術者までを対象とするトランスグレード実習講座と高校生理系選択者の校外研修の実験の一部として組み込んだ。また、全国の中学・高校理科教員を対象に実施した合宿研修の受講者勤務校のうち、宮城県・長野県・佐賀県の中学校の授業で実践していただいた。ユーグレナは鞭毛を持つ単細胞生物で、葉緑体を持ち光合成を行う点では微細藻類と言えるが、細胞壁を持たず、くねくねと動く特有の「すじりもじり運動」を示し、光のない環境では外から食物を摂取して生きていける点では鞭毛虫に分類される原生動物である。この植物か動物かはっきりしない不思議な生き物が泳ぎ回る様子を、多細胞の群体を形成するボルボックスと対比観察させることにより、生命科学への興味を惹起し、大量培養技術の開発による産業化の成功例などを紹介することで、先端研究・科学技術と社会との係わりを学ぶ教材とすることができた。 一方で、医用イメージング実習の構築は計画より遅れているため、次年度はそちらを優先的に進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ユーグレナの遊泳観察実習の構築と実践は計画以上に進展したが、医用イメージング(画像診断)実習に用いること計画していた病態モデルマウスの実験における苦痛度分類が想定していたカテゴリには収まらないことが判明し、計画の再考が必要となり、動物を用いた予備実験を行うことができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験教育研究計画を再考して、再申請を行い、医用イメージング実習の予備実験とプロトコール・実習書作成を優先的に進める。また、「ひらめき☆ときめきサイエンス」の枠組を利用して高校生対象の実習を開催し、研究成果の還元にも取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
病態モデルマウスを用いた動物実験教育研修計画について、実験における苦痛度分類(痛みのカテゴリ)の再検討を要することを指摘されて計画書が差し戻され、計画の修正を求められたことにより、年度内の承認が得られず、動物を用いた予備実験や購入する装置の機種選定を行えなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
動物実験計画書を再申請して承認され次第、病態モデルマウスを取り寄せて病変の撮像に用いる最適なプローブの検討を行って、実習に最適な小型超音波画像診断装置を選定して購入し、MRIやCT、近赤外 in vivo イメージングも含めた実習プロトコールの作成と予備実験を行う。使用時期が計画より遅れたが、前年度の未使用額は当初計画通り、画像診断装置の購入と、動物の購入・飼育費用、実習用の薬品・試薬等の消耗品費、実習補助の学生謝金に充てる。
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