研究実績の概要 |
本研究の目的(1)「日米双方の研究者・実践者が日本の『よい数学の授業』を検討することで、『日本の数学教育関係者にとって暗黙の前提となっている潜在的授業観・授業力』の顕在化を試みること」については、3年間の研究期間を通じて、アメリカ・ユタ州 Brigham Young University のDouglas Corey准教授と、インターネットを介して概ね週1回のペースで議論を進めた。今年度は特に、先の科研プロジェクト(研究代表者:相馬一彦,平成25~27年度基盤(C),課題番号25350183)における主要研究成果物である『理論×実践で追究する! 数学のよい授業(明治図書,2016)』の英訳作業において、さらに多くの知見を得ることができた。尚、この書籍の英訳本は、日本の数学教師が授業実践において参照する書籍の卓越した事例として、National Council of Teachers of Mathematics(全米数学教師評議会)から出版される予定のもので、今は粗訳について不明な点などの洗い出しを進めている。
本研究の目的(2)「日本の研究者・実践者が協力し授業研究を進めることで、「よい数学の授業」の本質を更に追究し、その外延と内包を明らかにすること」については、国内での授業研究会を引き続き精力的に進めた。今年度は8月に旭川で、1月に東京で授業研究会が行われ、研究代表者・分担者をはじめとして、研究協力者として埼玉・北海道・東京の現職教員が参加し、検討会では活発な議論が展開した。具体的には、「二次方程式」「比例と反比例」「三角形と四角形」の研究授業を行い、『よい授業』の外延の一端を明らかにした。特に、旭川での研究授業では、2名の異なる教員が同じ内容(二次方程式)での授業を行い、2つの授業を比較検討することで、様々な知見を得ることができた。
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