研究実績の概要 |
本研究の主たる目的は,ドイツのMINT教育(Mathematik, Informatik, Naturwissenschaften, Technik)及び,英国と米国のSTEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics)教育,米国のSTEAM(Science, Technology, Engineering, Arts, Mathematics)教育の学習プロセスに注目し,比較カリキュラムの観点から各教育の類似点と相違点を明らかにするものである。 具体的な研究成果の一つとしては,小学校段階におけるSTEM教育の一つである「プログラミング教育」の充実と,初等学校と中等学校間の連携・一貫教育の一層の推進のために,小学校高学年において「技術・情報教育」を専門とする教員による授業及び,カリキュラム・コーディネートの導入と共に,小学校のプログラミング教育担当教員養成のための教員養成系学部の演習科目と,中・高校の技術・情報教員養成の専門職能開発システム改革の提案を行った。主たる提案は,以下の2点である。 (1)初等中等教育段階におけるプログラミング教育では,音楽,図画工作・美術,家庭,技術・情報教科が今後一層重要な役割を果たす。しかし,これらの教科を担当する専任教員数の減少で,教科研修力の低下と研修組織の弱体化が急激に進行している。このことが,プログラミング教育の初等中等教育各校種段階の連携する上での阻碍要因になっている。各教科の総合的学習を推進すると共に,各教科間が調和の取れた時数にする等の改善方策が今後必要である。 (2)小学校3~6学年における各教科と総合的な学習の時間では,プログラミング教育専任教員が担当したり,カリキュラム・コーディネータ役として補佐したりして,チーム学校としてのカリキュラム・マネジメントを強化することが大切である。 最終年度を踏まえ,今後は,関連学会や文部科学省など,研究報告書をリポジトリにて公開する方向で検討する。
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