研究課題/領域番号 |
16K01021
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
西野 秀昭 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (40198487)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 科学教育 / 実験・観察 / データベース / 生命・生物 / 実施困難度 / 科学性 / 高度学校再現性 / 根拠 |
研究実績の概要 |
小・中学校理科の生命・生物の観察・実験の科学的精査と実施困難度測定 小・中学校の理科教科書から生命・生物の観察・実験(生物教材含む)をピックアップした。その観察・実験の困難さを調査する目的で実際に行い,科学的精査と高度学校再現性査定の為の実施困難度測定を行った。その結果を踏まえ,科学的根拠が確かで実施困難度が低い観察・実験へと改善や開発を行った。この実施困難度測定は下記の(2)に準じた。得られた成果は学術論文にまとめる目的で学会発表を行った。 (1)科学的精査:各々の観察・実験の引用・参考文献の調査を行い,科学的な根拠に基づいているか調査を行った。(2)実施困難度測定:研究代表者が所属する大学の,小・中学校教師志望の学生の協力を得て,教科書通りの観察・実験の結果が得られるか,教科書等の情報のみで観察・実験を行ってもらった。その結果から,実施困難度を判断した。その観察・実験が目指す考察に至れる結果を得た学生が,例えば10名中7名以上であれば「困難度低」,5名前後であれば「困難度中」,3名以下であれば「困難度高」とした。「全員できる」,「全員できない」の場合は,他の評価基準,例えばそれぞれ「困難度ゼロ」,「困難度∞」等とした。例えば小学校のアサガオを使った「花粉のはたらき」は9月にアサガオを準備する事や,必要な数のつぼみを揃えるのが実際に困難で,結果が予想と逆になる等,実施が難しい実験であることが判明し,実施困難度は∞とされた。(3) 科学的根拠が確かで実施困難度が低い観察・実験の提案と新たな開発:(1)または(2)で問題があった観察・実験を部分修正や改善を行い,また本研究代表者のこれまでの研究や収集した文献等から,科学的根拠を適切に引用・参考にしており,かつ実施困難度が低く高度学校再現性が期待される観察・実験の提案を,引用・参考文献を付けて,また実施困難度を付与して行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度にも学術論文にまで研究成果を整理する予定であったが,学会発表にとどまっている。しかし学会発表の一つは6ページからなる論文形式であり,データも掲載しているので研究論文に準じていると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度:「理科教科書生物教材の適正化&観察・実験方法の高度学校再現性と根拠の明確化の為のデータベース(仮称)」,略して「iSAID(アイセッド)(言ったとおりでしょう!)(仮称)」の構築等〕 (1)観察・実験の科学的精査,実施困難度測定,科学的根拠が確かで実施困難度が低い観察・実験の提案と新たな開発を続行する。(2) データベース「iSAID」の構築:小・中学校理科教科書のこれまでの観察・実験の実施困難度や科学的根拠の確からしさ,新たに提案した観察・実験の高度学校再現性や科学的根拠を明示したデータベース「iSAID」を構築する。。(3) データベース「iSAID」の電子版と紙媒体による無償提供とHP紹介及びアンケート調査を行う。 平成30年度:「iSAID」の改良型「iSAID plus(アイセッドプラス)(ねっ,言ったとおりでしょ!)(仮称)」の構築と教科書作成への貢献可能性度調査等〕 (1)観察・実験の科学的精査,実施困難度測定,科学的根拠が確かで実施困難度が低い観察・実験の提案と新たな開発をさらに続行する(2) 教科書会社及び編著者への情報提供と調査を行う(3):理科教科書作成における「iSAID plus」の貢献可能性度調査の更なるデータベースへの反映を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究に用いるパソコンの購入を初年度に計画していたが,研究に適した特徴をもつPCが見いだせず,年度末まで購入が遅れてしまった。パソコン購入が入札になり,また納品も大幅に遅れたため,余裕をもって予算を確保した結果,残予算が生じてしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度より継続して行う観察・実験の実施困難度測定(高度学校再現性の逆数)のための消耗品等の購入経費へ充当する。
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