【背景】小学校・中学校理科「生命・生物」観察・実験には,教科書のような理想的な結果が得難く,授業のまとめができない「再現性」の問題や,科学的に適切でない生物教材や実験が使われる「科学性」の問題が指摘されている。また高等学校生物教育でも,事実の暗記が中心になっている事の問題が指摘されている。学校では実施困難度「∞」な生物教材や実験が教科書で採用され続けている事等,現行の教科書の観察・実験には見過ごせない問題が見出される。このような諸問題の対策に,学校の教師が信頼を寄せる教科書それ自体の観察・実験の生物教材や方法を,科学的であり,かつ再現性が良く,結果が得られ易いという観点,及びupdate性から見直す事ができるシステムが必要と考えた。 【目的】本研究では,学習指導要領改訂を踏まえ,小学校・中学校理科「生命・生物」の観察・実験・高校生物に,科学的に適切で,学校での再現性があり,根拠に基づく生命・生物観察・実験・授業を提供し,かつupdateされるデータベースを構築することを目的とした。 【方法】生命・生物分野の教員研修等でのアンケート調査で,実施が困難とされた観察・実験やその教材の実施困難度を学生実験や教員研修等で数値化し,結果が得られる%や実施困難度無限大(∞)等で示しながら観察・実験の結果を得る為の方法を提示するとともに,教科書の生命・生物分野での記載に科学的な問題が見いだされる観察・実験やその教材の改善方法や教材の選択・取り扱い方等を示すデータベースを構築・提案する。 【結果】アンケート調査等で実施困難度が高いとされた小学校・中学校での観察・実験を実際に実施してその困難度を明確にするとともに,教材を含め改善方法を整理し,高校生物の授業方法の改善も提案した。pdf化したものをresearchmapにアップし,評価をアンケート調査した。その結果,回答者全員から最高評価が得られた。
|