研究課題/領域番号 |
16K01022
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
掛下 哲郎 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10214272)
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研究分担者 |
大月 美佳 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (20315138)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | イノベーション / 科学教育 / 能力評価 |
研究実績の概要 |
イノベーション創出は社会が継続的に発展する上で極めて重要性が高いため,政府や産業界でも様々な提言が行われている.また,IT(情報技術)はイノベーションを創出する上で不可欠な要素(イノベーション・ドライバ)として認識されている.しかし,イノベーションを創出するために提案されている各種の提案は,相互関係が必ずしも明確でないため,本研究では,イノベーション創出を目的とする取り組みを調査し,それらの関係を明らかにすることを目指している. 平成29年度は,イノベーション創出の第一段階として現状調査に注目した.平成28年度に実施した「大学における情報教育に関する現状調査」で収集したデータを分析し,(1) 情報専門学科における専門教育,(2) 非情報系学科の専門教育における情報教育,(3) 全学の学生を対象とする一般情報教育,(4) 高校教科「情報」の教員養成課程,(5) 教育用計算機システムに分けて国際会議等で研究発表を行った. また,イノベーション創出を目的とする既存の枠組みについて調査し,個人のイノベーション能力を評価するための基準案をまとめた.本基準案には,現状の問題分析やニーズ・ウォンツの分析だけでなく,問題が生じる根本原因を深く理解する習慣や,試行錯誤を繰り返して最終的な解決法に至るためのマインドセット,技術だけでなくビジネスや社会制度の再設計を含むエコシステムを構築することでイノベーションを起こす能力や視野などが盛り込まれている. さらに,個人の力を活かすために必要な組織能力を評価するための基準案をまとめた.組織能力の評価に当たってはPeople CMMの枠組みを活用している.これによって,組織能力を評価するだけでなく,段階的に組織能力を高めることも可能になる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度に文部科学省委託事業「超スマート社会における情報教育カリキュラム標準の策定に関する調査研究」の中で海外調査WGの主査を担当した.そのために時間を取られたため,能力評価システムの企画はまとめたが,開発工程に移行することができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
個人と組織の能力評価システムを開発する際には,既存のアンケート調査システムcresieを拡張して行う予定である.個人と組織の能力は評価基準が異なるが,cresieは多様な評価基準に対応できる汎用性を有するため,カスタマイズは最小限で済む見込みである. 平成30年度は本研究課題の最終年度にあたるが,大学から研究休暇を取得して,上述したシステム開発および,企業や有識者を対象とする訪問調査を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
約85万円の次年度使用額が生じた主な理由は,能力評価システムの開発が遅れているためである.しかし,能力評価システムの企画はほぼ完成しているため,平成30年度前期中にはシステムの仕様策定および開発作業を完了する予定である.
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