研究課題/領域番号 |
16K01023
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
星野 由雅 長崎大学, 教育学部, 教授 (50219177)
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研究分担者 |
當山 明華 長崎大学, 大学教育イノベーションセンター, 助教 (60647642)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 科学教育プログラム / 教材開発 / 先端科学 / 自然の恵み / 色素増感太陽電池 / クロロフィル / 未来志向 / 教育心理 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,先端科学である色素増感太陽電池の色素に自らが育成した生物から抽出した色素を用いることで,学習者が自然の恵みと先端科学の双方の恩恵を受けていることを実感し,それによって自然災害及び科学技術上の事故による心的ダメージを克服し,未来を志向することに資する科学教育プログラムを開発することである。平成29年度は,平成28年度と同様長崎県内の小学校の児童を対象にプログラムを実施するとともに,福島県内の小学校の児童を対象に長崎県内の小学校用プログラムを適宜改変したプログラムを実施した。 平成29年度に実施した長崎県内の小学校用プログラムは,長崎市新三重漁業協同組合の協力を得て平成28年度に開発したワカメの育成を取り入れた色素増感太陽電池の製作を中心としたプログラムである。一方,福島県の小学校用プログラムでは,学校が山中にあることから山の恵みとして近隣農家の協力を得てブルーベリーを色素抽出対象生物としたプログラムを開発した。 プログラム前後で児童に質問紙調査を行い,次のことが明らかとなった。全体的な傾向としては,長崎県及び福島県の両小学校の児童ともに,プログラム実施前よりも実施後の方が自然や科学技術に対する印象が良くなっていた。福島県の児童は長崎県の児童と比べて,「林や森や川」に対して「身近な存在」というイメージが,実施前は低かったが,実施後にはイメージが高くなっていた。また,自然と科学技術に関する関係性では,両小学校の児童ともに実施前より実施後が高くなっていた。さらに,科学技術のイメージに関しては,「よく見える」,「役に立つ」といった項目の得点が上昇していた。特に,福島県の児童で前後の上昇が顕著であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長崎県内の小学校を対象に平成28年度に引き続きプログラムの実践を行うことができた。加えて,福島県の小学校においても教育委員会,学校,地元の農家の協力を得て色素抽出対象生物をワカメからブルーベリーに変更して実践を行うことができた。また,これら2つの小学校での質問紙調査の結果を比較検討できたことから,おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は,福島県の小学校を対象とした教育プログラムを実施し,長崎県の小学校での結果との比較分析を詳細に行う。その結果を,学会及び論文に発表するとともにホームページに公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は,研究成果の公表をホームページで行うことを,旧来のホームページの援用で行う予定にしていたが,セキュリティ管理上の観点から平成30年度に新たにホームページを開設することとし,平成29年度に予算の執行を行わなかったため。 平成30年度にホームページを新たに開設する経費として使用する。
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