研究課題/領域番号 |
16K01029
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研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
大橋 理枝 放送大学, 教養学部, 准教授 (80337732)
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研究分担者 |
北原 和夫 東京理科大学, 科学教育研究科, 教授 (20107692)
山田 栄三 (長崎栄三) お茶の水女子大学, サイエンス&エデュケーションセンター, 研究協力員 (50141982) [辞退]
千葉 和義 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (70222130)
奈良 由美子 放送大学, 教養学部, 教授 (80294180)
工藤 充 大阪大学, COデザインセンター, 特任講師(常勤) (10775886)
星 元紀 お茶の水女子大学, サイエンス&エデュケーションセンター, 研究協力員 (20012411)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 科学リテラシー / ワークショップ / インタビュー / サイエンスカフェ / ネットワーク / 「科学技術の智」プロジェクト |
研究実績の概要 |
第一に、「科学リテラシーの理論と実践をめぐる知識と人材のネットワーク」のための任意団体「科学技術の智ラボラトリ」(所長=北原和夫)を立ち上げた。科学コミュニケーション研究所の全面的な協力を得てウェブサイトを立ち上げ(http://literacy.scri.co.jp/)、日本で行われてきた科学リテラシーに関する様々な取り組み(「科学技術の智プロジェクト」及び「旧国立研究開発法人科学技術振興機構 科学コミュニケーションセンター 星・長崎ユニット」の活動記録や報告書、「大学教育の分野別質保証のための教育課程編成上の参照基準」に関する資料など)を一か所に集積することで散逸を防ぎ、後の参照に寄与することができる体制を整える取り組みを開始した。 第二に、「科学リテラシーを実装しよう」と銘打った3回目のワークショップを実施した(2019.2.9)。これは2016年度に行った「科学リテラシーを妄想しよう」および2017年度に行った「科学リテラシーを構想しよう」の成果を基礎に企画・実施したものだが、今回は科学リテラシーに関する取り組みを行っている何名かがその実践を発表する形を取ることによって、過去2回に行ったものとは異なるテーマや参加者でのワークショップを実現しつつ、過去2回のワークショップから得られた成果を社会に実装していくためのあり方について参加者と共に議論を行った。 加えて、2回のサイエンスカフェの開催(星元紀「“ヒト”という動物の生き方」2018.5.15開催、北原和夫・平川秀幸「現代という時代における科学リテラシーの意義」東京理科大学と共催にて2018.9.13開催)の実施や、「アース・セレブレーション2018」での「モバイル顕微鏡」の展示(2018.8.17-18)や参加型トークセッション(2018.8.19)などの実践も行った(科学コミュニケーション研究所との共催)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度もこれまで同様1~2か月に1回程度のミーティングを継続して行い、分野横断的な科学リテラシーの概念の構築を図り、科学リテラシーを議論するプラットフォームの論点を抽出すべく、年度計画にあった科学リテラシーの内容の再検討、生活リスクリテラシー・日本型コミュニケーション・科学リテラシーの主体についての検討を継続した。年度計画では (1)一昨年度及び昨年度に行った「科学技術の智プロジェクト」関係者へのインタビューのまとめと関係者へのインタビューの継続、(2)一昨年度及び昨年度行ったワークショップの成果の取りまとめとテーマ・参加者を変えてのワークショップの実施、(3)東京理科大学の「科学文化概論」にて収集したデーターの分析の継続、(4)科学リテラシーの普及に関する具体的実践としてのSSH認定を受けている高校での科学関連プロジェクトの支援、(5)科学リテラシーについての知識・情報共有を行うプラットフォームとしてのウェブサイト作成、を予定したが、このうち(2)と(5)については上記「研究実績の概要」で詳述した通りである。(1)については2017年度に行ったインタビューの書き起こしとリライトを実施し、内容をまとめる作業を行った(継続中)。(3)については各自で作業を進めた(継続中)ほか、お茶の水女子大学での韓国人とベトナム人の高校生を対象とした生物学実習(2018.6.22)での「モバイル顕微鏡」(スマートフォンにレンズを装着するだけで簡易型の顕微鏡として使えるもので、一般市民が身の周りの自然を観察するツールとして優れている)の使用に際しての簡単なアンケートを取るなどの活動も行った。(4)については「科学コミュニケーション研究所」の協力の下に研究課題の設定や調査方法などの支援を実施した(継続中)。 これらの活動から、研究は概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度末になって打診を受けた新たな共同研究への参加を通して、科学リテラシーに関する多国間調査に加わることを目標にすると共に、2018年度に立ち上げた科学技術の智ラボラトリの活動を軌道に乗せる方途を拓く。また、3年度に渡って開催した3回のワークショップ、および「科学技術の智プロジェクト」関係者13名へのインタビュー調査から得られた知見を融合し、分析を行うことで、現代に求められる科学リテラシー像についての理解を深め、モデルとして明確化する。そこから得られた成果は、プロジェクトの総まとめとして、関係領域の学術論文や学会年次大会、研究会等の媒体・機会を通じて発表する。それにより、科学リテラシーに関するより広いコミュニティの中での多様な参加者による建設的な議論を喚起し、モデルの精緻化を行うための知見を得ることを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度末になってから受けた新たな共同研究の打診があり、当初の研究目的をより精緻に達成するためには同研究に参加したいと考えた。また、2018年度に立ち上げた科学技術の智ラボラトリの活動を軌道に乗せる必要があると判断した。これらの理由により、事業期間を延長した結果、次年度使用額が発生した。 上記の課題の達成を通して使用することを予定している。
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備考 |
現在構築途上だが、科学技術振興機構科学コミュニケーションセンターのウェブサイトから移築した科学リテラシーに関する様々な情報(「科学技術の智プロジェクト」の全報告書、「旧国立研究開発法人科学技術振興機構 科学コミュニケーションセンター 星・長崎ユニット」の報告書など)へのアクセスが可能となっている。
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