研究課題/領域番号 |
16K01039
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
篠田 昌久 金沢工業大学, 基礎教育部, 教授 (60758514)
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研究分担者 |
三嶋 昭臣 金沢工業大学, 教育支援機構, 教授 (30064463)
西岡 圭太 金沢工業大学, 基礎教育部, 講師 (10748734)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | プロジェクト活動 / プロジェクトマネジメント / ものづくり / 活動計画書 / 活動報告書 |
研究実績の概要 |
教育現場で展開されるプロジェクト活動において、その成果物のみならずプロジェクト活動の推進過程を含めた活動全体の質的向上を図る手法を構築し体系化を目指した研究を、2016年度は概ね計画通りに実施した。 研究の対象として、ものづくりを通じて理工学の基礎や原理を習得するプロジェクトを選択し、まず環境の立ち上げを実施した。本研究内容を管理するOA環境、およびプロジェクトテーマの根底にある物理現象の理論的解明および設計情報の獲得のための解析ソフトウエア類、専門書籍類を調達した。次に、複数のプロジェクトテーマ案件から、理工学の統合的知識が求められ、かつ社会のニーズに応えるテーマ案件を選定し、このテーマを推進するために必要な部品/材料および工具類を調達した。 プロジェクトテーマの推進については、学生が常に成果物と推進過程の両方を意識しながら活動することの意識付けとして、プロジェクトマネジメント手法の要素を盛り込んだ独自の「活動計画書」および「活動報告書」を導入した。年度末に実施したアンケートで、本様式が初めてプロジェクト活動を行う学生にとって有効である結果が得られた。 また正課外のプロジェクト活動との対比の意味で、正課授業において自学習を促す手法を導入したところ、学生の意欲が導入した手法に影響する結果が得られたことから、プロジェクト活動のアクティブ性を深化させる手法の検討材料とすることができた。 本研究テーマに関する上記の実績について、2016年9月に日本工学教育協会講演会(大阪)および2017年3月にInternational Conference on Management and Education Innovation(パリ)の講演発表を行い、さらに2017年2月にJournal of Economics, Business and Managementに原著論文が採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間内で、調査、検討、体系化のステップで進める計画としており、2016年度は主に調査と検討のステップとしていた。 調査については、国内学会および国際学会へ各1回参加することで順調に進められた。 検討については、研究環境の立ち上げ、およびプロジェクト活動を推進しながら、その成果物と推進過程の向上を図るための手法を導入しており、導入した手法が有効である結果が出て始めている。手法の導入検討は現在も継続段階にあり、進捗として計画通りに推移できている。 さらに成果の公表について、上述の国内学会と国際学会での講演を行い、英文学術誌への原著論文採択実績があり、順調に公表できている。 なお、2017年3月にパリで行った講演が評価され、2017年8月に開催予定のInternational Conference on Construction and Project Management(札幌)における基調講演(招待講演)の依頼があり、受託した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度において、正課外で実施するプロジェクト活動における研究と、正課授業をベンチマーキングの対象にして自学習を促す手法を検討した。これらの研究成果を踏まえ、さらにプロジェクト活動の成果物と推進過程の両方の質的向上を図るためのプロジェクト推進手法を積極的に導入し、その有効性の検証を進める。さらに、研究期間内で進める調査、検討、体系化の3つのステップのうち、3番目の体系化についての研究にも着手する。 具体的には、企業における研究開発戦略の立案やプロジェクト遂行に用いられている手法やツール類を活用する。これらの手法やツール類はそれぞれの特徴から、プロジェクト推進過程で適用すべき最適段階が異なるため、1つのプロジェクトの遂行において、複数の手法が適時に活用されている。これらの中から教育現場用への転用性が高い手法やツールを選択するとともに、これらに改良や工夫を加え、教育現場用のツールとしてアレンジし、進行中のプロジェクト活動へ積極的な導入を図る。さらに運用した結果に基づいてブラッシュアップを行い、プロジェクト推進過程における推進の柱として組み入れ、中間時点としての体系化の構築を目指す。 これらの研究成果については、世界レベルでの公表を優先し、国際学会での講演や英文学術誌への原著論文投稿を積極的に行う計画とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
設備備品費については、品目を抑えたため、約8万円の余剰となった。 消耗品費については、プロジェクトテーマ案件の材料調達および研究環境の充実化において想定した品目を超えたため、約16万円の超過となった。国内旅費については、研究分担者の出張費用が発生せず、また研究代表者の出張費用が想定額よりも安価にできたため、約17万円の余剰となった。国外旅費については、研究代表者の出張費用が想定額よりも安価にできたため、約16万円の余剰となった。その他の費用については、当初想定していなかったが、国内学会/国際学会参加費や振込み手数料の費用が発生したため、約8万円の超過となった。以上により、約17万円の余剰となった。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年度に新たなプロジェクトテーマ案件を開始させるため、テーマの遂行に必要な材料調達および研究環境の充実化を推進する。また学会参加による調査と成果の公表の一層の充実化を図る。特に成果の世界レベルでの公表を優先させ、国際学会での講演回数を増加させる。これらの費目に対して、当初計画した2017年度収支計画額に加えて、2016年度の余剰額を振り分け、収支の均等化を図る。
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