研究課題/領域番号 |
16K01048
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研究機関 | 広島商船高等専門学校 |
研究代表者 |
清田 耕司 広島商船高等専門学校, 広島丸, 准教授 (50216503)
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研究分担者 |
水井 真治 広島商船高等専門学校, 商船学科, 教授 (50249843)
薮上 敦弘 広島商船高等専門学校, 広島丸, 助教 (60610061)
大内 一弘 広島商船高等専門学校, 広島丸, 助教 (90610064)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 離島 / 海事史 / 継承 / 機帆船 / マキハダ / 行商船 |
研究実績の概要 |
消滅可能性離島といわれる大崎上島の造船史と島人の暮らしを調査・研究し,郷土史教育の教材を作成し,郷土教育の一助を目指す。大崎上島の近代産業史は、造船と柑橘類栽培が主であった。また、島の課題として、島で育んできた造船・海運・文化の歴史を将来へ継承することである。本研究では、離島の課題解決を図るため明治以降の造船・海運・文化を調査・研究し、大崎上島造船史MAPや郷土学修教材を作成し、島で育つ子供たちへの郷土教育及び将来に渡り,島の文化・歴史の継承の一助を目指す。 1.離島である大崎上島を拠点として、芸予諸島及び瀬戸内海を対象とした、造船・海運・島と人の暮らし・文化などについて島の歴史(変遷)を次世代に継承していくことを目的に、研究分担者と地域を分担して写真資料や文献資料の調査と並行して聞き取り調査を実施した。収集した資料の編集整理には、地域の歴史学・民俗学・自然科学に詳しい学識経験者の協力を得て行った。 2.聞き取り調査を大崎上島町を中心に行った。また、瀬戸内海の離島が関わる海事史資料調査のため国会図書館・海事図書館,国内の海事系博物館等を訪問調査を行った。大崎上島で建造及び縁のある船舶の調査のため、中国運輸局尾道海事事務所に永久保存されている明治6年~昭和57年の船籍を抹消した船舶原簿の調査を行い約800隻のデータを入手した。 3.大崎上島の海事史に功績のあった望月氏が関わった、船員養成に係る事項(商船学校の設立・練習船建造(日本丸・海王丸))についての調査を行った。昭和5年建造の海王丸については、係留保存されている海王丸の船内調査を行った。また、海王丸の航海日誌の閲覧及びデジタル化を行っている。 4.成果発表及び情報発信として,郷土学習教材として「瀬戸内海と我が校」の改訂,ホームページの作成、日本船舶界要港学会、高専シンポジウム、海事技術史研究会おいて口頭発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に続いて,研究分担者及び学内外の参加者による「広島商船高等専門学校大崎上島歴史文化研究会」の活動により、大崎上島を中心に現地調査(資料収集・聞き取り調査)を行い,大崎上島内外から写真などの資料を現在約30,000点入手している。資料収集及び調査は最終年度も継続実施の計画である。 収集した資料については,随時デジタル化及びデータベース化を実施した。平成29年度中にデジタルアーカイブス化を図ったデータを整理すると共に,平成29年度に作成したホームページの充実を図り、島内外への情報発信を始められるようにしたい。また,中国運輸局尾道海事事務所に永久保管されている船籍を抹消された船舶の「船舶原簿」の調査によって入手した約800隻のデータを基にして、明治期から昭和期の船名録を調査して、大崎上島及び周辺地域を船籍港とする船舶及び建造された船舶など縁のある船舶のデータの補完を行っている。船名録などの調査が可能な,国会図書館・海事図書館を今後も訪問して調査及び資料収集に努めたい。 郷土学習教材も高専生向けの教材を作成できたので,引き続き収集資料を加えて,小中学校向けの郷土学習教材の作成及び出前授業を計画している。 大崎上島が国内1番の生産と出荷を誇っていた「マキハダ」について、現地調査、史実の調査を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
1.初年度、2年度の調査結果を踏まえて、島内外での現地調査・聞き取り調査・資料調査・資料収集の継続実施を行う。 2.収集した資料の整理とデジタルアーカイブス化の充実を図る。 3.産業史の継承をテーマとした郷土学習教材の作成及び出前授業等での提供を図る。 4.地(知)と技の歴史バーチャル博物館を完成し、島内外へ発信する。 5.調査・研究で得られた結果を高専フォーラムなどの学会で発表を行う。
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