研究課題
消滅可能性離島といわれる大崎上島の造船史と島人の暮らしを調査・研究し,郷土史教育の教材の作成等を通して,離島の文化・歴史の継承の一助を目指した。大崎上島の近代産業史は,造船と柑橘類栽培が主であった。大崎上島等島嶼部の課題は,島で育んできた造船・海運・文化等の歴史を次世代へ継承することである。本研究では,離島の課題解決を図るため明治以降の造船・海運・文化を調査・研究し,造船産業史資料や郷土学修教材の作成や講話を行い,子供達が故郷への関心を高めることで,郷土愛の醸成を図り,将来に渡って,離島の文化・歴史の継承の一助を目指す。1.離島である大崎上島を拠点として,芸予諸島及び瀬戸内海を対象とした,造船・海運・島と人の暮らし・文化等について島の歴史(変遷)を次世代に継承することを目的として研究分担者と写真資料や文献調査と聞き取り調査を実施した。収集資料の編集整理には,地域の歴史学・民俗学に詳しい学識経験者の協力を得て行った。2.聞き取り調査を大崎上島町を中心に実施した。瀬戸内海の離島が関わる海事史資料調査のため国会図書館・海事図書館,国内の海事系博物館等の訪問調査を行った。大崎上島で建造及び縁のある船舶の調査のため,中国運輸局尾道海事事務所に保存されている明治6年~昭和57年の船籍を抹消した船舶原簿の調査を行い,約800隻のデータを入手した。3.大崎上島の海事史に功績のある望月氏が関わった,船員養成に係る事項(商船学校の設立・練習船建造(日本丸・海王丸))についての調査を行った。昭和5年建造の海王丸については,係留保存されている海王丸の船内調査を行った。また,海王丸の航海日誌の閲覧及びデジタル化を行っている。4.成果発表及び情報発信として,郷土学習教材として「瀬戸内海と我が校」の改訂,ホームページの作成,日本船舶界要港学会,高専シンポジウム,海事技術史研究会おいて口頭発表を行った。
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広島商船高等専門学校 紀要
巻: 第41巻 ページ: 23-36
巻: 第40巻 ページ: 127-132