研究課題/領域番号 |
16K01057
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
青木 恭太 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 客員教授 (00125808)
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研究分担者 |
小田部 夏子 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 助教 (20406242)
原田 浩司 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (40738168)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 運動調節機能 / 児童の発達状況 / 脳機能 / 地域差 / 学年差 / 性差 |
研究実績の概要 |
本研究は,小学校入学前から中学校における協調運動調節機能発達状況を数量的・客観的に明らかにする.これにより,知能とは異なる発達側面の客観数値発達指標を与え,発達途上の児童生徒の教育・指導・研究に新局面を開くことを目的としている. 児童の発達状況の詳細を把握するために2小学校において全児童の運動調節機能の計測を各学期の初めに合計3回実施した.A校は,地方都市の郊外にあり,多くの児童は区域の中学校へ進学する.B校は,東京衛星都市の中心近くにあり,多くの児童は私立中学校への進学を目指して,中学受験に取り組む.また,比較対象としての成人として,内科医院への通院患者に対しても運動調節機能の計測を実施することができた. 計測対象者総数は,1000名を上回り,統計的解析により小学校児童および成人(90歳程度まで)の運動調節機能の発達と衰退のモデルを示した.また,2小学校間の運動調節機能の発達状況を統計的に比較することにより,2小学校で有意に発達の様相が異なることが示された.B校においてはA校と比較して,高学年において運動調節機能の発達速度が低下している.これは,A校とB校における生活習慣の差異に基づくと推定される.運動調節機能の発達の遅れは,学校現場において問題となっている怪我(骨折など)の増加の一因と考えられる.B校に対して簡易な運動調節機能訓練を提案した. 低学年においては,運動調節機能の発達状況に環境の異なるA,B2校において有意な差異はなく,運動調節機能が低学年児童の脳機能の発達状況の指標として利用可能であることが明らかとなった.3年生児童について読書行動計測を実施し,運動調節機能と読書行動の関係を明らかにする準備が整った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
環境の異なる2校において、全校児童の運動調節機能計測を年度に3回実施することができた。計測結果は、身長などの他の発達指標との関係を調査するために十分なものであり、30年度の研究の基盤を成すデータが集積された。
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今後の研究の推進方策 |
29年度に実施した、運動調節機能計測結果、読書行動計測結果、および身体発達計測結果を統合して、K-means法などにより分類し、読書行動特性と身体発達状況および脳機能発達状況の関連を明らかとし、読書行動に問題を抱える児童とそれ以外の児童との運動調節機能の発達状況の差異を客観的・数量的に明らかとし、読書行動に問題を抱える可能性の高い児童を早期に発見・検出する手段を調査・検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際会議旅費などが見込みよりも少額であったために、剰余が生じた。 国内・国外における研究成果発表をより充実させる。
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