研究実績の概要 |
本研究は,電子回路やロボット製作などの「ものづくり」の能力を育てるための実験教育を,高能率かつ安全に遂行することを可能にする新しい複合現実(MR)技術となる適応的実体験追求型MR (adaptive and experience-oriented mixed reality; AXMR)を開発することを目的とする。開発する技術は,次の(1)-(4)を実現し,理工系分野の教育で必須となる実験学習に必要な専門的かつ幅広い用途に活用できる点で,新規制と有用性を有している: (1) 装着する機器がほとんどなく,学習や実験を妨げない; (2) 裸眼で見た立体映像に対して,実際に操作することと同等の体験ができる; (3) 利用者(学習者)の実験環境に適応することができる; (4) 利用者の要望に応じて,発展学習が可能となる。 前年度までの研究では,主に(1)及び(2)の開発研究を行った。本年度においては,これらの技術に(3),(4)を組み込むことによって,システム全体を完成させて,実験教育支援システムとしての実用性を向上させる研究を行った。具体的には,前年度までに構築したシステムに,3Dスキャナによる立体データの取得する機能,及び3Dプリンタにより立体コンテンツから実体モデルを造形する機能を組み込むことによって,立体映像と実体モデルを組み合わせた「ものづくり」実験教育を可能とするMRを構築した。また,(2) の技術として開発した筋電センサ付端末による無線通信によって,他の機器の制御を試み,本システムの使いやすさを向上させる研究を行った。さらに,本システムをネットワーク化し,実験教育の遠隔化や多人数の実験学習への対応を検証する実験を継続して行っている。
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