特別支援学校で行う作業学習の教材ならびに支援具を開発し、附属特別支援学校との協働により、その適切な学習活動の在り方を検討した。本教材の特徴は、一般小学校等で用いるキット教材の形をとっていることで、作業学習として製作した完成品を学校等に販売することによって材料費等を回収し、これをもとに継続的かつ自律的な学習基盤を確立できることにある。キット教材を購入、活用する小学校等においては、優良な教材を安価で入手できるだけでなく、障害者に対する理解を育む間接交流の機会となる。 今回試行的にキット教材を活用した附属山口小学校(6学年)では、教員や児童はもとより、保護者からも、キット教材の意義や質の高さを評価する声が聞かれた。特別支援学校で指導する教員からは、こうした感想が届くことや、製品として作ったものが売れることで、生徒の自己有用感が高まったとの意見が聞かれた。各自治体の教育予算に関わる規則の見直し等、解決すべき課題も少なくないが、本研究で得た知見等をもとに、この施行を地域の特別支援学校ならびに一般小学校にも波及させていく計画である。 このほか、小学校において2030年の学校をテーマに体験型イベントを開催し、本研究で用いた3Dプリンターやレーザー刻印機の紹介を行った。こうしたデジタルファブリケーション技術は、学校教育の中にも浸透していくことが確実であることから、R2年度からの科学研究費「デジタルファブリケーション技術を生かしたオーダーメイド型学習支援ツールの開発」において、引き継ぎ研究を進めてい行く。
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