研究課題/領域番号 |
16K01068
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
村川 雅弘 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (50167681)
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研究分担者 |
吉冨 芳正 明星大学, 教育学部, 教授 (60550845)
田村 知子 岐阜大学, 教育学研究科, 准教授 (90435107)
泰山 裕 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 講師 (90748899)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | カリキュラムマネジメント / 学習指導要領改訂 / 地域活性化 / 資質・能力の育成と評価 / アクティブ・ラーニング / ワークショップ / カリキュラム・マネジメント評価 |
研究実績の概要 |
①次代を生き抜き地域を担う人材育成のための授業開発に関しては、高知県7校を対象に教育課程全体を通してのアクティブ・ラーニングの展開、総合的な学習の時間を核とした子どもや地域の実態を踏まえたカリキュラムマネジメント等の手立て・手順の開発を行うと共に、全国学力・学習状況調査及び総合的な学力調査による教育効果測定の方法を確立した。また、各教科の教科書会社が提供している年間指導計画作成資料を対象に「比較する」思考スキルが指導される学習場面を教科ごとに抽出し、「比較する」の体系についての教科ごとの特徴を明らかにした。 ②学校のカリキュラムマネジメントを支援するシステムの開発と活用の先進事例の収集・整理に関しては、学校のカリキュラムマネジメントを評価し改善策を考案するための支援として、3つの評価手法を比較し特徴を析出する調査研究を行った。また、地域カリキュラムの先進地である上越市の「上越カリキュラム」について資料を収集した。 ③学校のカリキュラムマネジメントを支援するための集合研修の開発と活用の先進事例の収集・整理に関しては、高知県下の指導主事に対して、県の授業改善の基本的な方向性を明確にすると共に、その考え方を学校現場に浸透させていくための具体的な手立てを開発・共有するワークショップを行った。カリキュラムマネジメントに関する集合研修は、独立行政法人教員研修センターや各地の教育センターにおいて企画・実施し、アンケートを行った。大分県佐伯市においては、小中校12年間を通して育む資質・能力を明確化した上で、各学校の総合的な学習の時間の年間指導計画の見直し・改善を図るワークショップを企画・提案した。 ④研究代表者及び研究協力者の予定が合わず、全体会議を実施することができなかったが、メールにより日常的な情報交換や協議を行い、部分的には学会や理事会等で随時打ち合わせを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①次代を生き抜き地域を担う人材育成のための授業開発に関しては、主に高知県の「探究的な授業づくりのための教育課程研究実践事業」の指定校7校を対象に、教育課程全体を通してのアクティブ・ラーニングの展開、総合的な学習の時間を核とした子どもや地域の実態を踏まえたカリキュラムマネジメント等の手立て・手順の開発を行うと共に、全国学力・学習状況調査及び総合的な学力調査による教育効果測定の方法を確立した。また、各教科の教科書会社が提供している年間指導計画作成資料を対象に「比較する」思考スキルが指導される学習場面を教科ごとに抽出し、「比較する」の体系についての教科ごとの特徴を明らかにした。 ②学校のカリキュラムマネジメントを支援するシステムの開発と活用の先進事例の収集・整理に関しては、学校のカリキュラムマネジメントを評価し改善策を考案するための支援として、既存の3つの評価手法を比較し各特徴を析出する調査研究を行い、それぞれの特徴を明らかにした。また、地域カリキュラムの先進地である上越市の「上越カリキュラム」について資料を収集した。 ③学校のカリキュラムマネジメントを支援するための集合研修の開発と活用の先進事例の収集・整理に関しては、高知県の指導主事を一同に集め、県が目指す授業改善の基本的な方向性を明確にすると共に、その考え方を学校現場に浸透させていくための具体的な手立てを開発・共有するワークショップを企画・実施した。カリキュラムマネジメントに関する集合研修は、独立行政法人教員研修センター及び各地の教育センター(石川県や高知県、福岡県、広島市など)において企画・実施し、アンケートを実施した。大分県佐伯市においては、小中校12年間を通して育む資質・能力を明確化した上で、各学校の総合的な学習の時間の年間指導計画の見直し・改善を図るワークショップを企画・提案した。
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今後の研究の推進方策 |
①次代を生き抜き地域を担う人材育成のための授業開発に関しては、高知県の「探究的な授業づくりのための教育課程研究実践事業」の指定校7校の内の3校(四万十市立具同小学校及び同市立中村西中学校、本山町立嶺北中学校)に対して継続的な調査を行い、全国学力・学習状況調査及び総合的な学力調査による教育効果測定結果を踏まえて授業開発の手立て・手順の再評価を行う。並行して、探究的な授業開発の手立て・手順については高知県教育委員会指導主事と学校用マニュアル開発を行う。大分県佐伯市においては、小中校12年間を通して地域創生のための資質・能力の育成を目指した総合的な学習を核としたカリキュラムマネジメントを渡町台小学校及び鶴谷中学校、佐伯鶴城高等学校と開発・実施する(以上は主に村川が担当)。授業評価については、教科知識の習得、汎用的スキルの習得とその活用に分けて評価を行うための視点と方法を提案し、実施する(主に泰山が担当)。 ②学校のカリキュラムマネジメントを支援するシステム開発と活用の先進事例の収集・整理に関しては、学校のカリキュラムマネジメントを評価し改善策を考案するための支援として、学校の実態や目的に応じて3手法を組み合わせて活用するための簡易的な評価システムの開発を行い、高知県や佐伯市等の研究協力校において試行する(主に田村と村川が担当)。地域カリキュラムの先進地である上越市の「上越カリキュラム」については、開発及び実施の担当者に対する面接調査及び関連資料の収集に務める(主に吉冨が担当)。 ③学校のカリキュラムマネジメントを支援するための集合研修の開発と活用の先進事例の収集・整理に関しては、各地の教育センター(石川県や滋賀県、広島県、鳥取県、仙台市、柏市など)において校長や副校長・教頭、教務主任、10年次研修など職階や経験年数に応じた研修計画を開発・実施・評価を行う(主に、村川と田村が担当)。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者及び研究分担者の4人ともが学習指導要領改訂をはじめ文部科学省の諸委員を複数担当し、かつ研究代表者の所属異動(29年4月1日に鳴門教育大学から甲南女子大学に)により、全員が一同に介して会議を実施することができなかったが、メールにより日常的な情報交換や協議を行った。村川、吉冨、田村の3名は日本カリキュラム学会全国大会及び「秋のセミナー」において時間を調整して直接会合を持った。また、村川と泰山は同じ職場・所属であったために随時打ち合わせを行った。全体会議を2度ほど予定していたが4名の都合がつかなかったために、特にそのための会議旅費が残る形となった。なお、直接的な会合は行えなかったが、各々に関しては所定の研究成果を上げることができている。 また、研究代表者の村川は、甲南女子大学への異動が4月時点で明らかになっていたために、パソコンやビデオカメラ等の備品に関しては購入を控えた。
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次年度使用額の使用計画 |
①平成29年度においては、全体会議を2度程度行う。1回目は5月下旬に名古屋で実施予定である。28年度の研究成果についての発表と研究協議を行い、初年度の研究成果を踏まえ、研究全体の計画に沿って相互の関連をより強固に進める。そのための会議旅費が必要となる。また、研究代表者の村川は、異動先の甲南女子大学において、研究において必要な備品や消耗品を整えつつある。 ②村川は、次代を生き抜き地域を担う人材育成のための授業開発や学校のカリキュラムマネジメントを支援するシステムの開発と活用の先進事例の収集等のために、高知県及び大分県佐伯市、愛知県知多郡(地域カリキュラム「知多カリキュラム」の先進地)を中心に教育委員会や研究協力校との打ち合わせや調査のための旅費を使用する予定である。吉冨は主に地域カリキュラムの先進地の上越市を中心に調査を行うために旅費を使用する。田村及び泰山に関しては未定である。
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