研究課題/領域番号 |
16K01073
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研究機関 | 山口県立大学 |
研究代表者 |
池田 史子 山口県立大学, 国際文化学部, 教授 (10275430)
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研究分担者 |
川島 啓二 京都産業大学, 共通教育推進機構, 教授 (50224770)
橋場 論 福岡大学, 教育開発支援機構, 准教授 (50549516)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ピア・サポート / ライティング支援 / インタビュー調査 / 計量テキスト分析 |
研究実績の概要 |
ピア・サポートによるライティング支援について,支援者として関与する学生スタッフの意識に焦点を当て,その現状と課題を明らかにした。 ライティングスキルは,大学の学習における基礎的能力,知識のアウトプットであるだけではなく,構成主義的学習観における学習の完成をも意味する。そして,今日行われているライティング支援は,正課のなかで実施されている場合もあれば,正課外プログラムとして実施されている場合もある。その支援者としては,教員によるものに加えて,上級生や同級生によるピア・サポートの形式を採る事例も増加している。 本研究では,大学院生が図書館職員の指導の下でピア・サポート活動を行う大学と,大学生がライティング授業の発展的活動として,教員のコーディネートの下でピア・サポート活動を行う大学について,ピア・サポーターへのインタビュー調査を行った。そして,計量テキスト分析の手法を用いて,実際にピア・サポートの支援に関わる学生スタッフの意識について,各集団へのインタビュー・データにおける頻出語を抽出し,要約されたデータを解釈した。 その結果,A大学においては,図書館職員を意識しつつ,業務としての認識の下で活動している姿が,B大学においては,サポーター相互の関係性を意識しつつ,「教える」ことに不安を抱えながら活動に従事している姿が浮かび上がってきた。他方で,両大学に共通する点として,ピア・サポート活動を通じて,異なる他者(異なる専門領域・異なる世代)と交流することを通じて,学生スタッフ自身が学び合う場(学びの共同体)を形成していることが見受けられた。さらに,ピア・サポート活動を推進するにあたっては,「『ライティング支援』を支援する」教職員の役割が重要であることも改めて明らかになった。こうした状況において,大学院生や学部生をいかにして支援者として育成していくかということが今後の課題であった。
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