最終年度は、昨年と引き続き、東京都市大学横浜キャンパスの図書館をフィールドに、Raspberry Piをマイコンとして使用した中型ロボット「マグボット」と小型ロボット「シェイクボット」を制作し、図書館に実際に投入してロボットと図書館の職員の相互変容について観察し、考察した。研究成果は以下である。(1)図書館にはマグボット6台、シェイクボット10台を設置した。マグボットは音量監視用に4台、室内アナウンス用1台、図書館利用の説明用1台である。シェイクボットは個室監視用として使用した。(2)図書館内に設置したロボットの管理が複雑になったので、2019年度より行っていたシステムをNode-REDに切り替えることをさらに推進した。(3)Node-REDに切り替えることで職員が図書館のPCからロボットの発話を自由に変更できるようになり、図書館内での利用者向けのアナウンスなど職員が自分で行うようになった。(4)新たに図書館の1Fにあり、利用者が自由に会話してもいい4つのボックス席にそれぞれ音量測定用マグボットロボットを4台設置してボックス席の利用者の会話の音量を職員席でモニターできるようにした。(5)音量によって職員が判断してボックス席のロボットを発話することができるようになった。(6)当初、自動的にロボットがボックス席の音量を判定して基準を超えたら利用者に注意することを検討していたが、最終的には職員がロボットを介して利用者に丁寧に発話することで、ボックス席の利用者の騒音を回避することができた。ロボットと職員、利用者の関係性の中で状況的にロボットの役割が確定していくことがわかった。
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