研究課題/領域番号 |
16K01081
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
嶋村 和恵 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (80216077)
|
研究分担者 |
広瀬 盛一 東京富士大学, 経営学部, 教授(移行) (90329128)
Elwood Kate 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (80320852)
田部 渓哉 早稲田大学, 商学学術院, 助教 (50706728)
峯尾 圭 早稲田大学, 商学学術院, 助手 (50746849)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 教育学習支援システム / 広告 / マーケティング / CLIL |
研究実績の概要 |
平成28年度は、研究の方向性を確認するための資料や情報の収集を中心に行った。英語による専門科目(ESP: English for Specific Purpose)については、海外で実施された広告関連のカンファレンスなどに参加し、海外の非英語圏の大学で授業を実施している教員や教育関係の企業と情報交換を行った。アジアでは、韓国と香港の大学でヒアリングを実施した。また、日本でESPを実施している教員へのヒアリングを実施した。さらに、情報教育などのシンポジウムに参加した。 その結果、ヨーロッパではESPが、多くの大学で行われていることがわかった。また、授業で取り上げたい内容として、日本を含むアジアにおけるマーケティングや広告などへの関心も高い。韓国では、欧米の大学で教育を受けてきた教員を中心に、ESPを展開しているようだった。韓国向けに作成された教材はないようで、授業の準備に苦労しているようだった。香港では、香港や欧米の大学で教育を受けてきた教員が授業を担当している。中国本土からの学生が増えて、英語の能力にばらつきが見られ、授業によっては教育水準の維持に苦労しているようだった。 日本の大学では、英語での授業を前提とする学部以外では、ESPの受講者は、留学生や帰国子女が中心となることが多く、海外経験の乏しい日本人学生が、授業に対して積極的に参加できていないようだった。特に、会話や筆記などの技能に課題があるようだった。 教材の開発については、出版社などへの聞き取りや意見交換を行った。また、教育学習支援システムについての基礎的な研究も始めた。教育効果のシステムについては、基本的な調査を実施した。教材や教授法については、ヨーロッパで導入が進んでいるとされているCLIL(Content and Language Integrated Learning)という概念を導入する方向が定まった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ESPに求められる要素を構造化するという目的は、ESPの担当教員へのヒアリングを通じて、おおむね明らかにすることができた。したがって、学生や英語を必要とする社会人への聞き取りができなかったことは、全体的な計画においては大きな問題とは考えていない。 教材作成については、具体的な成果として記述できるほどの取り組みをすることができなかった。これは、ESPについての情報収集はある程度行うことができたが、英語教育や情報工学などの情報を取り込むことが遅れたため、動画などの教材をどのように作成し、評価するのかという方法や手続きについて方向性が、なかなかまとまらなかったためである。 本来、初年度に組み込んでいなかった授業評価のシステム開発を実施したことも、予定していた計画に影響を与えた。教材については多少の遅れがみられているが、全体としては順調に進んでいると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度の成果を受けて、作成に時間のかかると思われる教材作成に重点を絞って研究を進めていく。 ESPを効果的に実施するためには、専門的な内容だけでなく、ディスカッションやライティングの能力も求められるので、ESPの領域にこだわらず英語教育や教育工学などの関連領域における知見を積極的に取り入れていく。昨年の課題として実施できなかった社会人や学生へのヒアリングも実施し、ESPのニーズを再確認する。 教材の作成方法については、作成の進度を上げられるように、外部人材の協力なども含めて再検討をする。15分程度の映像教材を中心とした教材作成を念頭に置いていたが、作成する教材の内容や種類、提供方法などについて研究が促進される方法を探って行く。 平成29年度は、これまでの研究計画に沿った研究を行うと同時に、昨年実施できなかった成果発表を行っていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
教材を作成するための方向性を固めるのに時間がかかってしまったために、年度内に業者に作成依頼を発注することができなかった。また、ヒアリングを中心に研究計画を立てていたが、研究に有用なコンセプトがわかったので、ヒアリングの重要性が相対的に低くなった。このため、分析に必要な予算が計画していたほどにかからなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に未使用だった予算の多くは、教材作成で予定していたものである。既存の教材を修正する予定が、すでに決まっている。今年度の研究推進方策でも述べたように、教材作成を重点的に行う予定であり、過年度の予算を消化できると考えている。
|