研究課題/領域番号 |
16K01086
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
仙石 昌也 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (40257689)
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研究分担者 |
宮本 淳 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (40340301)
山森 孝彦 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70387819)
久留 友紀子 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (00465543)
橋本 貴宏 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (60291499)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Googleドキュメント / 編集履歴 / 共有ファイル / 参加係数 |
研究実績の概要 |
クラウドを利用したレポートなどの文章作成は,ファイルを共有することにより協働学習のツールとして非常に有効であると考えられる。さらに,編集内容の自動保存機能を利用して分析することにより,レポート作成の協働作業に関するプロセスに対してアプローチが可能になり,協働学習に対する教育効果や有効性,指導方法の改善への応用が期待できる。 平成28年度は協働学習に関するプロセス分析の基礎データを収集することを目的として,平成27年度に実施したグループ学習によるレポート形式の発表用資料の履歴データの分析を行った。 クラウドの編集履歴から得られた編集時刻を集計した調査結果から,同時刻に複数の編集者が作業している時間帯と,グループ学習終了後に行ったアンケートで得られた協働学習を行った時間帯の分布がほぼ一致することがこれまでに明らかになっている。そこで,同時刻に複数の編集者が編集している履歴(重複履歴)を協働作業の指標とし,分析を行った。 まず,個々の学習者の重複履歴数の,レポート全体の総重複履歴数に対する比率を算出した。これを協働作業に対する「参加係数」と定義し,数値化した。「参加係数」はレポート作成に対する協働作業の相対的な積極性の指標となる。3名グループに対し参加係数を算出し,ここから学習者の協働学習に対するタイプを3群(積極協働学習者,中間協働学習者,消極協働学習者)に分類した。 次に,3名グループのレポートの作成について協働学習の観点からみた場合,どのような学習者タイプでグループが構成されているかについて着目した。その結果,協働作業にほぼ均等に全員が参加していて,望ましい形態と考えられる「全員協働タイプ」,協働作業に対して中心的な役割がいる「中心協働タイプ」,3名のうち2名だけで協働を行っている「特定協働タイプ」に分類することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定であった平成27年度のデータを使って,協働学習の実態の概要を把握するという点で,協働作業のタイプを分類できたこと,作業時間帯の情報や文字増加・減少数などの情報を追加して,短時間での大幅な文字数の増加の様子も明らかにできたことで,研究の進展が見られた。さらに,これらの情報を集計してレポートの作成過程の概要をタイムラインで可視化して,プロセス分析のための基礎データが揃いつつある点で,順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
協働学習に限らず,レポート等の文章作成に関して質の向上や教育効果の有無を判定するには,そのレポートを客観的に評価する必要がある。まず,レポート評価のためのルーブリック作りを進め,その妥当性を評価したい。評価したレポートを協働学習のタイプ別に分類して分析を行い,その関係を調査することにより,教育効果にどのように活かせるかを検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度はデータ分析作業において,OS等の更新が原因でソフトウェア等に不具合が発生したため,旧来から使用している更新前のPCやソフトウエア,機器を主に使用してトラブルを回避した。結果として分析には予想以上に時間を要したが,これにより不具合発生後の物品の購入を見合わせたたため,未使用の予算が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は,OSやソフトウェア等の更新状況を見極めながら物品の購入を検討したい。購入を見送る場合は,成果報告のための学会発表の準備や旅費に充てたい。
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