研究課題/領域番号 |
16K01087
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研究機関 | 大阪芸術大学 |
研究代表者 |
武村 泰宏 大阪芸術大学, 芸術学部, 教授 (90280065)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 教育工学 / 教授学習支援システム / ソフトウェア工学教育 / 教材改善ポイント / ARCSモデル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,教材と理解状態の関連をモチベーションの側面から可視化して,教材の改善ポイントをフィードバックする教授学習支援システムの研究開発にある。具体的には,3つの手法・技術[T1]~[T3]の研究開発を計画している。本年度はこの研究開発(3ヶ年計画)の初年度に当たるもので,T1:教材と学習者の理解状態を可視化する教材理解モデル構築手法,に関する研究開発を行った。研究実績は以下のとおりである。 (1) 本学および国内の研究協力者の新潟青陵大学においてプログラミング教育のデータを収集し,理解状態を異なる教育環境にも適応して解析ができるように改善した“理解状態態解析機構”によって解析した。 (2) “アセスメント尺度測定機構”によってモチベーション・レベルを測定し,先行研究の知見を基にモチベーション・レベルと遷移状態遷移の関連を解析した。また,教材理解モデル構築手法の提案に必要な教材と理解状態の関連要素を導出し,その相関とクラスタといった統計的概念による教材理解モデル構築手法を提案した。 (3) 本手法の適用領域を小学校のプログラミング教育に拡大し,プログラミング教育の学習効果を測定するためのメトリクスおよび,ロボットプログラミングにおけるアルゴリズムの解析も行った。メトリクスの解析では,ヒューリスティクな要素属性に着目し,算数における座標の位置認識力,国語では図表を説明する文書表現力,理科では事象から仕組みを読み取る観察力を導出した。 (4) 教材理解モデル構築手法を,教材理解モデル構築機構用サーバーに実装するため,本手法による教材理解モデル構築機構を設計した。また,本学および国内の研究協力者の大学で本機構の評価実験および,先行研究の成果との比較などにより改善項目を導出した。これらの成果については国内外の学会において発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り, 教材理解モデルによる教材理解モデル構築機構の開発とプログラミング教育におけるモチベーション測定を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で提案した教材理解モデル構築手法は,プログラミング教育の学習者数がある程度の人数であれば教材改善ポイントのフィードバックによる教授者への支援は可能であり,実際の教育現場での実用性は高いと考えている。今後は平成29年度の研究計画に加え,さらに教材改善ポイントのフィードバックの精度を高めるため,ヒューリスティクな要素属性を取入れて,プログラミング教育の学習効果を測定するためのメトリクスも導出する。
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次年度使用額が生じた理由 |
先行研究の“学習環境要因尺度”と“関連分析モデル“より,モデル構成要素を導出し,9ヵ月かけて両者の関連を表わす”教材理解モデル“を描画する教材理解モデル構築手法を提案した。本モデルは,評価実験によって評価・改善するよう進めていたが,今年度から本学および国内の研究協力者の大学に加え,小学校におけるプログラミング教育の学習者効果を研究対象に含めたことで,評価実験用パーソナルコンピュータおよび教材理解モデル構築機構用サーバーに,小学生と大学生の両者に適応できる機能が必要になった。そのため適切適量なハードウェア構成,スペック,操作性等の調査に時間を要し,さらに本学の情報環境の更新も影響し,これら機器の年度内の完了が困難となった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度に計画している,①教材改善の要素項目の導出,②教材改善ポイント導出のアルゴリズムの提案,③教材改善ポイント導出機構の構築が進行した時点で,再度,教材理解モデル構築機構を構成するためのサーバー用機器の市況調査を行い,コストパフォーマンスの高い機種を選定して購入する。また機種選定の市況調査においては,ハードウェアのモデルチェンジおよび,OSとして採用するLinux の改定状況も考慮する。 評価実験用パーソナルコンピュータは,当初の計画通り,本サーバーの利用環境において最適なパフォーマンスを維持できる機種を選定し,サーバー用機器と並行して購入する。
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