本研究課題では、臨床研究を行う際に必要な統計手法の選択を支援する臨床研究統計手法の逆引き探索・学習支援システムの構築を目的とする。 前年度までに、臨床研究の生物統計学に関する研究支援の方法として「統計手法逆引き探索」を提案し、「臨床研究統計手法の逆引き探索・自己学習支援システム」の試作モデル(プロトタイプ)を構築した。最終年度は、機能や操作性を確認し、その評価の検討を行い、システムに反映するプロトタイピングの繰り返しを行い、以下の事を実現した。 研究支援として利用者が必要な統計手法の解説にたどり着く仕組みである「逆引き探索」と「順引き探索」をシステムに搭載した。「逆引き探索」では、研究の進み具合にあわせて「研究開始段階」、「パイロット試験段階」、「正試験段階」の3つの段階より統計手法を検索できる仕組みを実現した。「順引き探索」では、従来の統計学の教科書などのように統計手法順に統計手法が並べてあり、その中から必要な統計手法を選択できる仕組みを実現した。 そして、自己学習支援として各種統計手法の数値例のページを構築した。特徴として、検定結果で帰無仮説を採択する場合と棄却する場合のそれぞれの結果の書き方や、統計数値の解釈の仕方も掲載して、手法選択の流れを確認できる工夫をしている。また、閲覧している数値例に対して分析ソフト(R、JMP、SPSS、可能であればExcel)ごとに、どのような手順で結果を導くかを確認できる仕組みをシステムに搭載した。 目的としていた「臨床研究統計手法の逆引き探索・自己学習支援システム」の仕組みが構築できた。今後はこのシステムの内容をさらに充実させ、使いやすいシステムを目指す。
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