研究課題/領域番号 |
16K01090
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
宮永 正治 近畿大学, 建築学部, 講師 (50467536)
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研究分担者 |
野口 ジュディー津多江 神戸学院大学, グローバル・コミュニケーション学部, 教授 (30351787)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ESP / ジャンル / コーパス / ムーブ分析 / 翻訳 / カリキュラム・教授法開発 |
研究実績の概要 |
本研究では、既に構築した日英翻訳学習者コーパスを用いて、そのデータを更新し、特定のジャンルに特有のレトリカル構造、表現、文法などを分析し、そこから得られた知見を大学(院)生を対象としたジャンルの概念に基づいたESP教授法へ応用することを目的とし、初年度は次のことを行った。 (1)日英翻訳学習者コーパスの整備:これまでに構築したコーパスのデータにタグ付けするソフトウェアについて検討の結果、使い方が容易なTagAntを使うこととした。 (2)分析対象とするジャンルの選定:(1)のコーパスのデータのうち、プレスリリースを分析対象として選定した。また、これから追加するコーパスデータの中から、リコール社告と謝罪のためのビジネスeメールについても対象として検討することにした。 (3)分析対象となる各ジャンルの言語的特徴の選定:分析対象をレトリカル構造、頻出表現・単語、および文法とした。 (4)各ジャンルの言語的特徴を分析:パイロットスタディとして、リコール社告および謝罪のためのビジネスeメールのデータ(英語の記事および日英翻訳学習者の翻訳文)の言語的特徴についてコーパス分析とムーブ分析を行った。なお、プレスリリースの分析に関しては、本研究課題の補助事業期間前である2015年の分析結果(Miyanaga, 2015)をパイロットスタディとして用いることとした。リコール社告の分析からは、日英翻訳学習者は言語が持つ文化的差異を考慮してターゲット言語の言語的特徴を取り入れつつも、翻訳成果物の目的や読者対象にも注意を払って翻訳しているとの考察が得られた(宮永ら、2016)。また、ビジネスeメールの分析からは、学習者によるムーブ分析、コーパス分析、クラス内の議論、および翻訳のリライトは学習者の自律性を育て、実社会の状況に応じた翻訳ができるようになるとの考察が得られた(Miyanaga, 2017)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初に計画した下記の初年度の計画内容が概ね進捗しており、研究基盤が確立しつつある。 (1)日英翻訳学習者コーパスの整備 (2)分析対象とするジャンルの選定 (3)分析対象となる各ジャンルの言語的特徴の選定 (4)各ジャンルの言語的特徴を分析
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今後の研究の推進方策 |
パイロットスタディから得られた知見に基づき、日英翻訳学習者コーパスを用いて下記の3つの観点から分析を行う。 (1) 日英翻訳学習者コーパスを用いたジャンルの言語的特徴の分析 (2) 学習者の能力向上を横断的に評価(cross-sectionalな評価) (3) 学習者の能力向上を長期的に評価(longitudinalな評価)
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定した国内外での発表に関して、当初、研究代表者、研究分担者、および研究協力者の3名全員が参加する予定であったが、国内での発表に関しては2名、海外の発表については1名となり、また、この海外1名の費用については大学の費用を使用したことから、旅費の支出が減少した。
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次年度使用額の使用計画 |
生じた次年度使用額により質的研究用および量的研究用ソフトウェア(NVIVO Plus)と量的研究用ソフトウェア(SPSS Advanced StatisticsとSPSS Amos)の購入を検討している。
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