| 研究課題/領域番号 |
16K01094
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| 研究機関 | 釧路工業高等専門学校 |
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研究代表者 |
山田 昌尚 釧路工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (40220404)
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| 研究分担者 |
土江田 織枝 釧路工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (10230723)
峯 恭子 大阪大谷大学, 教育学部, 准教授 (90611187)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| キーワード | 演奏支援 / 発音検出 |
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| 研究実績の概要 |
本研究の目的は，身体知としてのリズム感の獲得過程を明らかにすることである。前年度までに，主に管楽器など単音楽器を対象とする演奏支援システム「リズムチューナー」を開発してきた。これは音響信号を実時間処理し，楽器演奏の発音タイミングを可視化して奏者にフィードバックすることで演奏技術の向上をサポートとともに，演奏者のリズム感を調査するため演奏者の表出したリズムを記録するものである。今年度はそのデータ記録方式やユーザインターフェイスの改良などを行い，これまでの研究成果とあわせて国際会議で発表した。また，今度の被験者実験にむけての実験計画を作成した。並行して，ピアノ学習者を対象として，リズム感を獲得していく過程について調査するための記録・分析方法ついて検討を行った結果，音響信号入力を用いるよりMIDI入力を用いる方がリズム感の獲得過程を研究するために適切であることがわかった。そこで，今後のデータ記録および分析のための予備調査として，ピアノのグループ授業を受けている学生の授業データをMIDIで記録し，その分析方法について検討を行った。また，ピアノ演奏支援研究について改めて文献調査を行った結果，演奏技能の定量的な評価を行っているもののほとんどは特定の楽曲をシステム評価実験での練習対象として比較的単純な指標を演奏技能の指標としていること，リズムを研究対象にしている例は少ないこと，継続的に多数の演奏者を調査した先行研究はほとんどなく，わずかに見られた文献ではSCAT (Steps for Coding and Theorization) を用いた質的研究評価を用いていることがわかった。これにより，演奏支援システムを使用する場合および使用しない場合の両方で音楽演奏に関する身体知の調査を行う準備が進んだ。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度に研究代表者が長期研修を受けていたことおよび調査方法を音響入力からMIDI入力にも広げたことから実験計画の見直しが必要となり，全体の進捗にやや遅れが出ている。しかし，計画段階での音響信号入力でリズムのみを対象とした調査方法からMIDI入力に変更したことで，より総合的な演奏スキルの獲得を分析対象にできることとなった。記録したデータから演奏技能として分析する要素としては，打鍵ミスの数，リズムの正確さ，テンポの安定性，左右の手や和音で同時に発する音が揃っているか，強弱，ペダル操作などが考えられる。これらの要素の定量的な評価基準については先行研究から一定の尺度が得られているが，今後さらに検討が必要である。楽譜を演奏する際に学習者がどこでどのように間違うかは個人ごとにばらつきがあり，また同一演奏者でも演奏のたびごとに変化し得る。これは，楽譜上のある音符が演奏されるべき音高やタイミング等（＝真値ベクトル）に対して，実際の演奏が誤差を含んだ測定値であると見ることができる。また，音楽演奏学習者が教授者の指導を受けながら長期的に練習を続けていけば，その演奏は望ましい方向へ変化していくはずである。今回対象とするのは特定の楽曲ではなく，授業ではひとつの曲に習熟すれば次の曲へと課題曲が進んでいくから，上記に示したような演奏技能要素について楽譜との誤差が小さくなっていく過程を統計的に記述することは，単に特定の楽曲に慣れたということではなく，一般的な演奏技能の獲得を記録できるといえる。
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| 今後の研究の推進方策 |
平成30年度は，幼児教育専攻でピアノのグループ授業を受けている学生を対象とし，授業時間中の演奏記録を行う。このデータを分析するにあたって問題となるのは，演奏の各部分と楽譜との対応付けである。電子ピアノのMIDIファイルには，演奏している曲のテンポにかかわらず固定のテンポでノートイベントが記録される。その演奏が楽譜のどの部分に該当するかを示すこのアノテーション作業は，演奏時間が短ければ手動で可能だが，本研究で扱うような長時間の演奏データを扱うには，何らかの自動化作業が必要であり，これは楽譜追跡の問題となるので，隠れマルコフモデルやDPマッチングなどと，演奏データからのヒューリスティックなルールを組み合わせてアノテーション自動化の方法を構築していく。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
被験者実験を，音響入力によるものから電子ピアノのMIDI記録に切り替えたことにともない，実験用に予定していたPCを演奏支援用タブレット端末に置き換えることしたため，ソフトウエア開発の時期に合わせて購入を先送りしている。平成30年度にタブレット端末を購入予定である。
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