4年目の最終年度は,学習者の学習内容に対する難易度を学習中の頭部の動きから推定した.頭部の動きの取得に,メガネ型のウェアラブルデバイスであるスマートアイウェアJINS MEMEを使用した.このJINS MEMEから取得できる頭部の加速度と角速度の情報から機械学習を用いて学習者が解いている課題の難易度を推定することを目的とした.3軸の加速度と3軸の角速度の合計6つのセンサー値を時間窓2秒で平均,標準偏差,最大値,最小値,中央値をそれぞれとり,30次元の特徴量にした.これを平均0,分散1になるように標準化し,主成分分析により10次元の特徴量にして学習を行った.機械学習の手法としては,SVM(RBFカーネル),ランダムフォレスト(Random Forest:RF),決定木,k近傍法(k-Nearest Neighbor:k-NN)の4つを用いた.課題としては,①計算問題,②漢字の書き取り問題,③個人の能力差が出やすいと考えられるプログラミング問題を対象に実験を行った.被験者には研究の目的,内容等を十分に説明し,プライバシーの保護などに同意いただいたうえで実験に参加してもらった.重要な特徴量をRFにより調べたところ,頭部の左右方向の回転を表すyaw角の特徴量が重要だとわかった. 研究成果は,査読付きの英文誌として,Sensors and Materialの特集号New Trends in Smart Sensor Systemsに投稿し,採択された.学会口頭発表として,国際会議(口頭発表1件,ポスター発表1件)と,国内学会2件である.
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