研究課題/領域番号 |
16K01099
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研究機関 | 新居浜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
松友 真哉 新居浜工業高等専門学校, 電子制御工学科, 准教授 (90413856)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 電磁界可視化 / コンピュータシミュレーション / 没入型デバイス / 拡張現実感 / 電磁気学教育 |
研究実績の概要 |
電磁界は直接目で見て観察することができないため、電磁気学の授業等で、初学者に電磁界をイメージさせることは難しい。そこで、コンピュータシミュレーションを利用した可視化を活用すれば、ユーザは疑似的に電磁場を観察することができ、理解の一助となる。しかし、単に通常のディスプレイでコンピュータシミュレーションの結果を観察させても実体験として印象に残らず、直観的な理解には結びつかない問題がある。 一方、近年、ヘッドマウントディスプレイ等の没入型デバイスの開発が盛んで、民生用のデバイスも市場に出回り始めており、今後更なる普及が見込まれている。これらのデバイスを有効に活用すれば、ユーザに仮想空間と現実空間の区別なく様々な空間を提示することができ、新たな教育ツールとなる可能性がある。しかしながら、没入型デバイスの教育利用に関しては未だ事例が少なく、多くの教材開発が望まれる。 そこで、本研究では、没入型デバイスを活用した電磁界可視化システムを開発することを目的している。これは、電磁界という直観的にイメージし難い場の分布を、ユーザにあたかもその場に存在しているかのように提示することで、ユーザは「電磁界が見えるメガネ」をかけているように気軽に電磁界を観察できる可視化システムである。今年度の研究実績として、磁界可視化手法のアルゴリズムを検証し、3次元空間でのリアルタイム磁界可視化手法についての成果発表を行った。これによって、「電磁界が見えるメガネ」の実現に向けての基礎検討を終えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までのところ、没入型デバイスを利用した3次元空間での磁界可視化手法を検討し、立体視を含めた可視化アルゴリズムの検証を行った。これによって、没入型デバイスと拡張現実感技術を利用して、リアルタイムの磁界可視化が可能であることを検証できた。また、可視化対象としては、永久磁石と鉄心を扱っており、磁束線を高速に描画する方法についても検討を行った。(i)ユーザが手にしている磁石や鉄心の模型をベースに、3次元リアルタイム磁界可視化を実現できた点、(ii)没入型デバイスを利用して立体視を実現できた点、(iii)磁束線を高速に描画する方法を検討した点、などから研究は「おおむね順調に進展している。」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに、磁界の可視化手法については基本的な可視化アルゴリズムの検討を終えているが、今後は以下の課題について重点的に検討を予定している。 <①多人数で可視化環境を共有できるシステムの開発>現在までに開発した可視化システムは一人で利用することを前提に開発している。しかし、教育現場においては、複数のユーザが対話的に3次元空間内で可視化を行い、ディスカッションできることが有意義であると考えており、そのシステム開発を今後行う。また、それに適したデバイスの選定を行う。 <②可視化対象の拡大>現在までに開発した可視化システムでは、磁界を対象としており、可視化対象も磁石や線電流に限定されている。そこで、今後は電界を含め、様々なバリエーションを準備することを検討する。 <③大規模データの高速可視化手法の検討>可視化精度の向上は本研究テーマに内在している根本的な課題であるが、現状よりも高精度な可視化を目指すには、扱うデータが大規模になるのは必至である。一方で、本可視化システムはリアルタイム性を最大の特長としており、可視化精度と可視化速度の両立の検討を今後も継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、可視化プログラムのアルゴリズム開発を重点的に行ったため、没入型デバイスの購入や計算機環境の購入を次年度以降に見送ったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
没入型デバイスの購入や計算機環境及び新たな可視化システムの開発環境の購入を予定している。
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