本研究は,小中一貫教育を志向する学校を支援するための研修支援ツールの開発,及び養成段階から小中一貫教育を意識した取組を志向する大学・大学院のプログラムなどを支援するツールの開発と運用評価を行うものであった。 具体的には,小中一貫教育を志向する学校の支援と関わって,1)教職員研修に向けて,その準備やその留意点と関わる研究主任用のもの,2) 教職員からの個別の声への対応や中学校区での実務的な業務を円滑に進めていくための教頭向けのもの,3)研究主任を支援し,中学校区としての取組を管理職間で作っていくことと関わる校長向けのもの,といった3つの研修ハンドブックの開発を行った(研究支援ツールの開発)。平成31年度(令和元年)の1年間,期間延長をいただく中で,最終年度,平成30年度に運用評価を通して指摘されたことについて改修を行い,研修支援ツールの運用評価を,小中一貫教育を市全体で行っている自治体の研修で複数回実施し,その結果を日本カリキュラム学会(岡山大学)で報告した。 平成28年から継続的に進めてきた小中一貫を志向する学校区,自治体の取り組みのための研修支援ツールの開発とその運用評価の結果,小中一貫教育を進める学校の教員のアイデンティティの調査と研修による変容の関係の結果,情報活用能力の育成を小中一貫教育のテーマに資する調査研究のまとめ,小中学校を通した個別最適化学習の取り組みで見いだされてきた研修課題の結果などと関わって,また教職大学院で本テーマを取り扱うために開発したプログラム評価の結果に関わって,これまで,日本教育工学会の論文集,奈良教育大学の研究紀要等にまとめてきた。 1年間研究期間を延長した4年間の研究を通して,小中一貫教育で成功している学校は,児童生徒にも小中一貫教育の成果が実感できる体験や意義の説明が丁寧に行われ,研修が位置付いている特徴があることが明らかになった。
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