研究課題/領域番号 |
16K01113
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
永松 利文 鳥取大学, 教育支援・国際交流推進機構, 教授 (30300198)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 経済事情 / 高等教育段階 / 職業教育 |
研究実績の概要 |
本年度は、計画段階において(1)構築したデータベースを解析し、本格調査結果を分析(2)欧州高等教育圏における遠隔教育の制度の位置づけと実質的効用認識の分析(3)研究結果のレビューとしていた。まず(1)については、これまでに集積したデータ分析を行った。なかでも本研究に最も密接な欧州経済については、英国の同経済圏離脱問題が大きく影響することが明らかである。EU経済の構造的課題については、多くの資料を収集し以下のように推定できる(ジェトロ、経済産業省等)。経済成長率のEU 平均は米国や日本などOECD上位国と比較した場合、低く推移しており、また就業率(20~64 歳平均就業率)は 69%となっており,これも、かなり低い。さらに、中核的存在である55~64 歳では 46%となっており、日本と米国の62%と比べると低い傾向となっている。また高齢化も進行しており、EU労働人口は減小しているが、 60歳以上の就業人口は200万人/年、増加しており、労働人口の構造的問題をはらんでいる。以上は、EU経済の課題の一端だが、これらを受けて、その回復策として以下が考えられる。 (1)経済のEU加盟国間の相互依存(2)EUレベルの調整:EUがより緊密に一体化して経済活動を展開することが有効である。これは、銀行制度の安定化、欧州経済回復計画(European Economic Recovery Plan)の結果をみれば明らかであろう。 このような2020年を見通した世界経済、EU経済に必要な人材の能力について、実証データをもとに、考察を行うと、質的要素として、リーダーシップ、言語運用能力を含むコミュニケーション力、探求・推察力これにくわえ、数的処理能力等が重視されていることが推計され、さらにこの領域の探求を継続していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度後半(2020年2月―3月)において、本課題の対象地域である欧州での学術調査の予定であったが、特に同地域での新型ウィルスの拡張により、同調査を保留した。これは、2020年度に再実施の予定であるが、日本国内においても同様の状況となり、政府の緊急事態宣言により、外国への渡航はおろか、国内出張もままならず、遅れている状況となっている。欧州地域においては、世界規模で、医療崩壊等同ウィルスによる惨状が酷く、調査に赴く時期についても目途が立っていない。さらに、所属する大学も国内外の出張を厳しく制限しており、調査をいつ再開できるか、研究計画上、予期していなかった事態が生起しており、この状況の鎮静化を待つしかない状況であるため。
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今後の研究の推進方策 |
これまで収集した欧州経済事情の量的データ、また調査により獲得した質的データ等を分析しながら、現在また将来の世界経済の潮流に適合した教育モデルについての外郭を明らかにする点を特に推進する。そのためには、上述した欧州高等教育機関及び経済団体等に対する学術調査が必要である。この学術調査は、新型ウィルス問題で、途絶され、再実施の目途が立たたないが、政府方針、大学方針の下で自粛を余儀なくされており、自粛期間も不明のため、研究期間の延長等も視野に入れ研究を推進していく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述したように、新型ウィルス問題で、調査のための欧州への出張禁止、また3月以降実施予定であった国内での研究レビューのための国内出張が禁止となったため。
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