研究課題/領域番号 |
16K01121
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
寺田 裕樹 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (40360002)
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研究分担者 |
猿田 和樹 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (80282193)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 高齢歩行者 / 交通事故 / バーチャルリアリティ / 複合現実 |
研究実績の概要 |
本研究は、様々な交通環境で歩行者に接近してくる車両をリアルタイムで複合的に現実空間に呈示させ、高齢者にも安全に道路横断などの交通環境を体験し、教育できるシステムの開発を目的としている。 本年度は、没入型バーチャルリアリティ呈示システム(以下CAVE)において、完全バーチャルリアリティ環境で高齢者の車両知覚特性を調べた。その結果、高齢者は若年者と比べ、昼、夕方、夜のすべての条件において、車両の接近速度を誤って知覚していた。しかし、高齢者は個人差が大きく、人によって異なるが、車両の接近速度を誤って知覚している高齢者を明らかにできた。本課題では、CAVEのような大型のシステムを要せず、簡易なシステムで実施できるシステムを目指している。そこで、CAVEと同様な検査をヘッドマウントディスプレイ(以下HMD)に移植して、同様な結果が得られるかを検討した。その結果、HMDを用いても、CAVEと同様な結果が得られることがわかった。 本課題は被験者に対して安全に道路横断などの交通環境を呈示し、教育するために、建物、光、道路などの交通環境は現実空間を利用し、車両のみをバーチャルに呈示する複合現実を最終目標としている。この複合現実は、道路横断を体験・教育する際に、被験者本人が移動した場合でもリアルタイムで車両の位置等が変化し、あたかも本当の車両が移動しているように呈示する最新の技術である。本年度は、その基礎的な検討のため、被験者が停止している状況において、現実空間と仮想車両が複合的に呈示した。その結果、複合現実感を利用し、車両を呈示できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は3Dアニメーションによる完全バーチャルリアリティで高齢者の知覚特性を定量的にし、様々な検査条件を明らかにすることだった。しかし、CAVEの大型システムをHMDに移植し、同様な検査も実施できたことから、想定以上に進展している。本課題は被験者に対して安全に道路横断などの交通環境を呈示し、教育するために、建物、光、道路などの交通環境は現実空間を利用し、車両のみをバーチャルに呈示する複合現実を最終目標としている。この複合現実は、道路横断を体験・教育する際に、被験者本人が移動した場合でもリアルタイムで車両の位置等が変化し、あたかも本当の車両が移動しているように呈示する最新の技術であるが、本年度は、すでに複合現実感を利用し、車両を呈示できている。 さらに、車両が接近している際の危険な道路横断や交差点での死角からの車両の進入の際の危険な道路横断時には事故を未然に防ぐような警報システムの開発にも取り掛かっている。
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今後の研究の推進方策 |
本課題は高齢者の教育システムとして開発するため、実際の事故回避の動作を分析する必要がある。そのため、被験者の動作を計測するシステムを構築する必要がある。また、高齢者に効果的に事故回避のための教育ができるのかについても別途検討しながら進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
高齢歩行者教育のため、交通事故回避動作計測のためのモーションキャプチャ装置を購入予定であったが、バーチャルリアリティ環境の構築および複合現実を利用した道路横断体験システムの構築が早く、そちらのソフトウェアの開発を急いだため、モーションキャプチャ装置の購入を遅らせた。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度、モーションキャプチャ装置を購入し、動作計測のためのソフトウェアを構築し、高齢歩行者教育のための動作解析を分析する予定である。
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