研究課題/領域番号 |
16K01125
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
寺尾 敦 青山学院大学, 社会情報学部, 教授 (40374714)
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研究分担者 |
伊藤 一成 青山学院大学, 社会情報学部, 准教授 (20406812)
宮治 裕 青山学院大学, 社会情報学部, 教授 (30255236)
飯島 泰裕 青山学院大学, 社会情報学部, 教授 (50262548)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | eラーニング / blended learning / 学習方略 / プログラミング |
研究実績の概要 |
プログラミングと統計学の学習を主な領域として、学習方略への介入を試み、その効果を検証することが本研究の目的である。 プログラミングの学習では、いわゆる文系の学生の多くが困難を経験する。学生は教師の解説を理解し、プログラミングを行う必要があるが、授業のペースについていけなくなることも多い。たとえば、エラーが生じたときに対処法がわからず、困惑しているうちに授業は先に進んでしまう。 こうした状況に対応するため、文系学生を対象とした MATLAB プログラミングの授業と、C言語プログラミングの授業で、使用しているテキストの補足説明を提供するウェブ教材を開発した。教師は基本的に講義は行わず、個別になされる質問に対応する。この授業方法を「教えないプログラミング」と呼ぶことにする。 このウェブ教材の重要な特徴として、学習方略への介入を試みていることが挙げられる。たとえば、長いプログラムは部分的に動作を確認しながら完成させることや、理解を深めるための簡単なコードを実行することなどを促している、 MATLAB プログラミングのウェブ教材を使用して、「教えないプログラミング」の授業実践を行い、理解を確認する小テストを行った。学習者がどのように学習を進めたかを調べるため、毎回の授業で、MATLAB でのコマンドウィンドウへの入力をコピーして提出させた。コマンドの入力からは、理想的ではないものの、教員が意図した学習方略が実行されていることが確認できた。小テストの結果から、教員が解説講義を行わなくても、プログラミングの学習が十分に可能であることが明らかになった。 統計学の学習では、学生が数理的な側面を無視してしまわないよう、数理的側面もテストで問われるということを明示した。その結果、これまでと比較して、数理の問題への正答率は上昇した。いくつかの基本的な学習方略は、テストの成績と弱く関連していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MATLAB プログラミングの解説教材に加え、C言語の解説教材も作成することができた。学習者がこれを利用してどのような学習を行うか、「教えないプログラミング」は可能なのか、検証のための実践を本年度に行う予定である。 統計学の学習では、いくつかの基本的な学習方略が、テストの成績と弱く関連していることが確認できた。数理的側面もテストで問われるということを明示した結果、これまでと比較して、数理の問題への正答率は上昇した。適切な学習方略が、数理の学習において実際に利用されているのか、授業実践において確かめることは難しい。それでも、テスト課題によって学習を方向づけることには成功したと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
MATLAB プログラミングの解説教材は今年度も授業で使用し、学習方略への介入と、「教えないプログラミング」がどの程度可能なのかを検証する。 C言語の解説教材を作成できたので、これを使用した授業実践を行う。MATLLAB と異なり、プログラミングの履歴をデータとして入手することは難しいので、学習方法に関する質問紙調査と、最終試験の成績から、教材の効果を検討する。 統計学では、デジタル教材は開発しないが、学習方略と成績との関連を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)ウェブ教材開発とそれを用いた授業実践が研究の中心となったため、ほとんど支出が生じなかった。 (使用計画)研究成果の発表、英語論文の校閲、業者に依頼するシステム開発と管理などに使用する予定である。
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