研究課題/領域番号 |
16K01132
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
阿原 一志 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (80247147)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 電子教材 / GeoGebra |
研究実績の概要 |
本研究では,教材作成ソフトウエアであるGeoGebraを用いた数学教材の開発を主なテーマとしている.ウェブサイト「GeoGebraで日本語教材を作ろう(http://www.aharalab.sakura.ne.jp/geogebra/index.php)」における教材の充実をはかり,中学の数学教材も範囲を広めたページを作成し,継続的に新しい教材の開発を行った.高校数学の全ての単元について電子教材の例を提示することにより,近い将来に実用が期待される電子教科書,電子参考書のあるべき姿を少しでも明らかにすることを目標としている。 また,2017年8月には京都大学数理解析研究所における研究集会「数学ソフトウエアとその効果的教育利用に関する研究」において原知己氏と共同発表で「Geogebraによるスナップを用いた「発見」を促す教材」という題で発表をした.この内容にさらに議論を加えた内容を2017年11月に統計数理研究所における研究集会「動的幾何学ソフトウェアGeoGebraの整備と普及」において,同じ表題による発表を行った.これらの発表では,スナップ(可動要素を動かしている時に,特定の場所に近づくと吸い寄せられるような動きの後に固定される仕組みのこと)を有効に活用することにより,従来にはなかった教育効果を教材の中に提示することができることを紹介した。 京都大学数理解析研究所講究録2022巻(2017)40-47に原知己氏との共著論文「GeoGebraによる説明と例題の交互の提示によるスライド教材とその作成の簡易化」を発表した。この論文では,従来型の,一画面による教材とは異なり,二つの画面を行き来することにより教育効果を上げるような電子教材の在り方を提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は「GeoGebra電子教材の整理拡充」と「タブレット端末での筆算サポートソフトウエアの必要性の検証」を主なテーマとしている.前者については,GeoGebraによる日本語教材についての調査・具体的な教材の提案・スナップ機能を用いた有効な教材の提案について研究を行い,学会発表も行い,論文も発表したので,一定の成果を上げたと考えられる。しかし,後者については,具体的な研究成果を発表できていない.具体的にはタブレット端末上の筆算支援プログラムのプロトタイプを提示する計画ではあったが,現存の手書き式読み取りソフトと教育学的に区別できるものは作成できていない.
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今後の研究の推進方策 |
スナップに関するGeoGebra教材の開発について,実際にモニタリングを行い教育的効果を実証する研究を実施中である。この内容は,2018年6月にスペインにおいて行われる国際会議CADGME2018において講演することが決まっており,世界のGeoGebra研究者との交流を通して,より充実したGeoGebra教材についての知見を得るようにする。 また,筆算支援プログラムについては今年度中に意味のあるプロトタイプを作成することを目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該研究内容のうち,筆算支援システムについての研究が予定通りに進まず遅れている。この研究に必要な書籍,交通費分を次年度使用分として繰り越した。これらはシステム開発に必要な書籍等の消耗品費として,また研究打ち合わせにかかる交通費として使用する計画である。
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