研究課題/領域番号 |
16K01133
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
田中 博之 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (20207137)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 学級経営 / 校内研修 / 学級力 / 可視化 |
研究実績の概要 |
本研究は、学級経営の力量に関して課題をもつことが多い新任教員を対象として、自己の学級経営力をセルフ・アセスメントするためのアンケートとその結果を集計するレーダーチャート作成ソフトを組み合わせた可視化ツールを開発し、それを用いた教育工学的手法を持つ校内研修システムを開発することを目的としている。 本年度試作的に開発・実施した校内研修システムは、学級経営の力量を定量的に表すレーダーチャートの形状変化と数値の伸びを指標とするとともに、校内研修システムに対する評価アンケートや教師インタビュー結果の定性的な内容分析などを行うことによって評価し改善ポイントを明確化した。なお本研究では、学級経営力の定義を人間関係づくりや学習規律に関わる側面に限定して操作的に定義した学級マネジメント力という用語を用いている。 本研究の目的を達成するために、初年度は次の3点について計画的に研究を遂行した。1)文献研究による学級マネジメント力の概念構成、2)学級マネジメント力可視化ツールの開発、3)教師インタビューによる学級マネジメント力の変容過程と形成要因の明確化。 1)については、文献研究により、新任教員に求められる学級経営力の項目モデルを作成し、6領域54項目を明確にした。2)については、可視化ツールとして「学級マネジメント力チェックリスト」というA4判4ページからなる自己評価シートを項目モデルに沿って作成することができた。信頼性を向上させるために、6名の新任教員に依頼して修正と改善を加えた。3)については、新任教員に特有な変容過程の特色と形成要因を、6名の新任教員へのインタビューから明らかにした。さらに、試作的に校内研修システムを開発し、その成果と課題を明らかにした。 2年度めは、校内研修システムを本格的に稼働し、評価と改善を実施する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、計画通りにおおむね順調に研究成果を出してきている。初年度に割り当てた3つの研究計画のポイントは、ほぼ達成できている。ただし、インタビューできた新任教員の人数が、当初予定の半数程度であるため、次年度は積極的にインタビューを実施して、人数を増やしデータの信頼性を高める計画である。 一方、2年度めに実施予定であった、校内研修システムの開発が試作段階ではあるが、研究協力校で実施できたことは、計画を越えて研究が進んでいるポイントである。次年度は、これをさらに進めて、本格的な開発・評価研究を実施したい。
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今後の研究の推進方策 |
上記の進捗状況でも述べたように、2年度めは、インタビューする新任教員の人数を増やしてデータの信頼性を上げることや、校内研修システムの本格的な開発・評価研究を行う計画である。
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