研究課題/領域番号 |
16K01138
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研究機関 | 福井工業大学 |
研究代表者 |
恐神 正博 福井工業大学, 環境情報学部, 教授 (70298389)
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研究分担者 |
大熊 一正 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (80367507)
杉原 一臣 福井工業大学, 環境情報学部, 教授 (90367508)
荒木 史代 福井工業大学, 工学部, 教授 (20724008)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | プログラミング教育 / ロボット / 組込み系 / 初等教育システム |
研究実績の概要 |
平成28年度では,A.プログラミング初学者が躓きやすいポイントの導出,B.GUIベースプログラミングからCUIベースプログラミングへの円滑移行を促す教材開発,C.心理尺度に基づく汎用的なアンケート項目の抽出とそれによる提案教程の評価及び改善,のそれぞれについて研究を進めてきた. まずAについては,大学1年生に対するプログラミング実習において,前後期それぞれの始めと終わりに,学習意欲を図るアンケートを実施するとともに,毎回の授業時において理解度調査(アンケート)をとり,そこから,理解度が落ち込む学習上の躓きやすいポイントの導出を試みた.次に,BではH29年度から試みる予定である,GUIプログラミングとCUIプログラミングとの対比のための,基礎的なCUIプログラミングのコンテンツ整備を行い,本年度行ってきたCUIプログラミングとの比較を行う準備を進めた.また,Cについては,尺度の基になる文献調査を進めるとともに,試験的に文献調査に基づく尺度を用いたアンケート調査を行い,合わせて,学期の始めと終わりにおいて,学習意欲の変位の調査も行った.これらは,次年度行う予定である,CUIプログラミングに対比させたGUIプログラミングにおける,学習意欲の比較を行うための準備とした.最後にペトリネットによる,処理の流れの視覚化を行うための,基礎的研究も合わせて行った. これらの研究により,次年度以降の研究推進のための基盤を整備した. 研究成果の報告としては,9月にハンブルグで行われた国際学会ICACES2016での口頭発表の他,10月に情報処理学会論文誌 Vol.2No.2への論文掲載,その他,国内における学会,研究会での発表3件を行っている.このほかにも,本学の公開講座での子供向けプログラミング教室の実施や,ふくいITフォーラム2016における技術展示など,地域における研究成果の還元も行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プログラミング導入教育としてのGUIプログラミングから,継続的学習へとつながるCUIプログラミングへの円滑移行を行う教程とその検証法の開発を目指している. 本年度は,そのための準備段階として,プログラミング学習時における,躓きポイント導出のための,毎回の授業時における理解度調査を行った.これと合わせて,心理尺度に基づく汎用的なアンケート項目の抽出も目指しているため,学習意欲を測るための尺度開発のための文献調査を行い,その調査に基づく尺度を用いた,学習意欲を測るアンケートの試行も行った. 今年度のこれらの調査は,今後,修正を繰り返しながら精査していくものであるため,手始めに行った試行であるが,これらの結果は,次年度以降の修正を行うための材料とすることができた. 研究成果の公表についても,昨年9月には国際会議での口頭発表,また,10月には情報処理学会論文誌への論文の掲載を行うとともに,地域における研究成果の公表として,ふくいITフォーラム2016での技術展示や,本学未来塾(公開講座)における子供向けプログラミング教室の実施など,研究成果の社会的還元も行うことができた. これらの状況から,本研究課題の進捗状況としては,おおむね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度からは,(A)授業で用いる教材の利用とプログラミング教程の洗練化,および,(B・C) アンケート項目の精査による汎用的なアンケート実施準備を行う予定としている. まず(A)については,今年度整備を行った,基礎的なCUIプログラミングコンテンツから,GUIプログラミングに対比させた,GUIプログラミング教育を行い,文献調査に基づく尺度を用いた,毎時の理解度および学習意欲の調査を進めていく.これは,教科書等にあるCUIプログラムの例題を,一旦,ScratchよるGUIプログラムに置き換え,文法等の学習を省いた,プログラムの構造やアルゴリズムのイメージを理解させる学習を行い,その後,対比させたCUIプログラムを作成する学習を行うことで,CUIプログラミングの理解度の向上を目指す. 次に(B・C)については,上で述べた(A)の検証を行うため,今年度進めた文献調査によるアンケート項目の精査を進め,昨年度,試験的に行った調査を基に,学習意欲を測る尺度を用いたアンケート項目により,理解度および学習意欲の調査を行うとともに,教程の洗練,および,尺度の精査を進める.これらは,今年度用いた尺度から,新たに,学習者のモチベーションを測る尺度を用いることで,モチベーションとともに,理解度,および,学習意欲を毎回の授業時において調査していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては,年度途中で,論文の掲載が複数生じ,論文の掲載料に費用をかける必要が出てきたため,当初予定していたマインドストームの購入を控えたことにより,予定していた物品費との差額が生じたこと,さらに,掲載予定の論文の中の1つが,次年度の4月以降の掲載にずれ込んだため,その分の掲載料が次年度繰越となったこと,さらに予定していたアンケート調査のためのソフトウェア等が,アンケートの調査方法を工夫することにより,少なくとも今年度における調査において,既存の機器類で互換可能となったため,それぞれ,それらの費用が繰越されたことによる.
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度の使用計画としては,今年度掲載が確定し,今年度中に予定していた,論文の掲載料の支払いの他,引き続き研究成果の国内外への公表を行うための旅費,プログラミング教室実施およびアンケート調査のための人件費・謝金,その他,消耗品の支出等を予定している.
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