本研究は、(1)高次能力学習型反転学習に対する自己効力感の分析と反転学習自己効力感尺度の作成、(2)学習者の反転学習に対する自己効力感を基にしたファシリテーション・マニュアルの作成、(3)自己効力感の相違に対応したブレンディッド・ファシリテーションによる反転学習の促進の3つの目的で実施されている。 研究最終年度の平成30年度は、当初の計画通り、研究目的(3)の「自己効力感の相違に対応したブレンディッド・ファシリテーションによる反転学習の促進」を行った。工程としては、平成28年度に制作した教材を活用した反転学習を2セメスターにわたって実施した(各4ヶ月、平成30年4月上旬~7月下旬、平成30年9月下旬~平成31年1月中旬)。具体的には、英語科教育法をテーマとして制作した高次能力型反転学習教材を「英語科教育法Ⅰ」の授業において、反転によるブレンディング・ラーニングを行った。 実証実験では、学習者はまず、授業の事前に予習用講義ビデオ(反転学習教材)を視聴した。授業では受講者は、①予習講義ビデオの内容に基づく小テストを受け(小テスト5分、解説等5分)、②15分程度の簡便かつ補足的な講義と演習課題についての説明・教示を受けた後、③授業やタスクの設計などの知識共創型の演習課題に3~4名を1グループとして共同で取り組んだ。協働学習に際して、教員は学習プロセスをデザインするとともに、必要に応じた場を調整したり、触発したりするなどのファシリテーションを行った。ファシリテーションは、平成29年度に行った調査の結果に基づき、①ICTの操作や教材へのアクセス方法などのテクニカル・サポート、②予習ビデオや演習課題のポイントの提示や演習課題の実施計画の確認などの学習マネジメント、③グループでのコミュニケーションの促進や調整などのコミュニケーション・ファシリテーションに分類される。
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